ポク太郎です。
非常にショッキングなニュース。天才漫画家鳥山明さんが急性硬膜下血腫により、68歳の若さで亡くなられました。
今語らずして何のための発信手段か、ということで単なる毛細血管が鳥山明さんを偲びます。
鳥山明○作劇場を読み直し、巨星を偲ぶ
68歳。現在の常識で考えれば若すぎる死。
絵を描いた経験のある方は週刊連載がどれほど過酷な仕事かは即座に気付くはず。ご自身の表現を借りると「週刊連載はおろしたてのパンツのようにキツイ。」
その過酷な仕事を成功させ、『Drスランプ』→『ドラゴンボール』で成した財産で、大好きなプラモデル製作に没頭しながら悠々自適に暮らすものと思っておりました。
単なる一ファンがそれを望むほど、十分すぎるほど世を楽しませた方でした。
絵を描く立場としては、あり得る訳ないと分かっていながらも“いつか鳥山明さんに褒められるかも”と淡い期待をし続けましたが、その可能性は完全に消滅してしまいました。
ニュースを聞いてからの放心状態にどうにも打つ手が無いのでふて寝しておりましたが、下記鳥山明○作劇場全3巻を読み直し、鳥山明さんを偲ぶことにしました。
デビュー時から週刊連載終了までを上記で振り返り。栗山和男!!で再度爆笑したり。
鳥山明の創り上げた世界観は“テキトー”
ジャンプ中に「オナラ」→着地でしゃがみ「を」→お尻をプリンと振って「しちゃうぞ」。そんなしょーもないギャグでも繰り返せば自然なものになると力説したものでした。
緊迫した表情で「みんな喰われちまった…ブルマもだ!!」と叫んでても違和感を感じないことによりその理論は証明されております。
引用:鳥山明『ドラゴンボール』第42巻~集英社
『Drスランプ』の頃はオリジナルを生み出そうと四苦八苦する様子がおまけページでよく語られますが、『ドラゴンボール』時代には吹っ切れたのかすべて下着の名前、楽器の名前。
ブルマ、ブリーフ博士、トランクス。ヤムチャ、プーアル、ウーロン、天津飯に餃子。ピッコロ大魔王、ピアノ、シンバル、ドラム。
大魔王として登場したのにナメクジ異星人とするためカタッツ、ムーリ長老、デンデ、カルゴ(エスカルゴ)、シリアスな戦闘型はちょっとクールにネイル(カタツムリは英語でスネイル。)
邪悪な魔術師親子と魔人をひっくるめてビビディバビディブゥ。魔術と魔人だから。
サイヤ人は野菜でカカロット、ラディッツ、ナッパ、ベジータ、バーダック。…と、こだわり統一に見せておきながらクリリンやランチさんは統一性なし。
呪文は「ポコペン…ポコペン…ダーレガツッツイタ……………ポコペン…ポコペン…ダーレガツッツイタ…」。基本的にオリジナルが存在しないテキトーアイデアばかりです。
ホワイト将軍マッスルタワーには秀逸な怪物ブヨン。ブヨブヨだから。それで十分。
読み切り作品ではニベア姉ちゃんと妹ムヒ。他社の商標も平気でキャラクターにしました。
そんなことよりムラサキ曹長の「ぎゃふんっ!!」の1コマ表現の絵で読者は満足します。
引用:鳥山明『ドラゴンボール』第5巻~集英社
この覚えやすさ、こだわり感の少なさで、軽くて敷居の低いフレンドリーな雰囲気を生み出すのが鳥山明さんの特徴でした。
シリアスさを求めるようになる中二病の年代には子供っぽいと敬遠される原因でもありますが、それは市場の話であり、鳥山ワールドには十分な数のファンが存在するので無問題。
鳥山明が教えてくれたこと
上で挙げたテキトーキャラのフレンドリーさ、絵の描き方、タッチの魅力、構図による表現方法、ほんわかネタの面白さ、エトセトラエトセトラ。簡単には列挙できません。
特に絵に関しては満場一致で賛成されるのではないかと勝手に決め付けていますが、上手い・下手は置いといて、これが鳥山明さんから学んだ絵。

まず、ウンコ。漫画ではウンコが飛び跳ねたり、スキップすることもできます。
●太線にも拘らず細部ほど微細表現。
●フリーハンド枠の雰囲気。
●ロゴ・メーカー名も手書きで入れ込み格式。
●人工物の矛盾の無い立体感の心地よさ。
●テキトーなはみ出しによる躍動感。
上記は素人でも多少真似できるもの。困るのは次の例。
色んなタッチの絵を描いておりますが、鳥山明さんの絵の一大特徴は、
やたらと線が多い。
『パイレーツ・オブ・カリビアン』ジャック・スパロウのような「非常に運が悪いくせに、やたらと運がいい」みたいな。
引用させて頂きますが、下の勇者アンルシアの髪の毛やアクセサリーのことを言っています。
下書きの迷い線の中から最適なものだけを選び出し、等間隔で太線。細部までその太さの線で描き込みます。胸の紋章翼やベルト部分を見て頂けると。
対して、前掛け部分やブーツには線は少なくスッキリ。
これだけの線の太さで描いてるにもかかわらず、剣のサヤ、剣持ち手部分、それを持つ右手、ベルトのデザインまでしっかりと表現されています。
これはキャラデザインであり、世界観をスタッフに伝えるためにとんでもなく時間掛けた絵だろ?とは思いますが、驚愕なのは週刊連載中でもこれクラスの絵が山ほど存在すること。
才能、センス、己を貫く強靭さを兼ね備えた人材が一生努力を続けると、こんなことが可能になるんだと教えられる例なのかもしれません。
“奇抜なポーズや構図でなく安心感・落ち着きがあるのに目を引く絵”に世界中が魅了されたことは私如きが言うまでもなし。
話まとまらずオリジナル漫画の話
『ヘタッピ漫画研究所』に触発され、Gペン、インクその他画材道具を揃えたガキンチョでしたが、頭の中で構想することはあるも、今まで一度も漫画製作に取り掛かりませんでした。
上記はポク太郎のこと。いつしか途方もない時間が経ち、結局鳥山明さん永眠のニュース。
誰かが喜ぶ訳でもなく、供養に成る訳でもありませんが、奮起して漫画を書き始めました。遅きに逸した自分を納得させるためってだけ。

主人公メルビンと学匠カリック
こちらが、『ヘタッピ漫画研究所』内で鳥山明さんが指摘する部分を頭に入れ、描いてみたコマ割り・構成。まだ意味不明ですが。

ストーリーだけは、鳥山明さんが指摘する「最初から市場を狭めてしまうパロディは止めろ」との助言を守れませんでしたが、他はすべて吸収しようと奮闘しております。
誰かが喜ぶ訳ではありませんが、できたら本ブログに貼り付けることになると思います。
追記)大変でしたがやっと出来上がりました。
日本の凋落を象徴するように次々亡くなる日本の巨星。鳥山明さんのみならず、指揮者小澤征爾、八代亜紀、谷村新司、ダチョウ上島竜平、宇宙戦艦ヤマト松本零士、ムツゴロウさん、ノッポさん。
個人的に選び出した“巨星”です。まだまだ居られるが。
そういえば旧日本軍の研究実験。頭皮の血管を切断していくと、血の巡りが悪くなり毛根に悪影響を及ぼす悪玉たんぱく質?の供給が減るため、ハゲ頭から毛が生え始めたとのこと。
ただし、血管が切断された頭皮では、残ってた毛細血管が再度太い血管に成長するため、数カ月したらまたハゲ上がり、光り輝いたという研究結果だったそう。
居なくなった日本の巨星が遺した偉業を受け継ぎ毛細血管は育って行きます。
今現在は鳥山明さんを超える存在など想像が付きませんが、記録とは破られるもの。
ポク太郎のように干乾びた毛細血管に意味はありませんが、その内鳥山明さんに並ぶ極太血管に成長するものが登場し、再度日本を光り輝かせるやもしれません。
記憶を鮮明にすることで鳥山明さんの偉業を今後の毛細血管に伝えることが、一ファンにもできる供養かなと、一文を投稿させて頂きました。
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