ポク太郎です。
長らく使用してたHDDがっちゃんこ設備『2.5・3.5インチドッキングステーション』。型番は玄人志向KURO-DACHI/CA/U2。中身は中国製。
ノートPC用も含め、内蔵用のHDDをUSB経由でパソコンに接続してくれる便利なシロモノ。
先日、2013年から9年間使い続けたそれが故障し、修理しようと中を開いたところ、とんでもないものを見つけてしまいました。
そこからシステム構築の難しさとデジタル後進国となった日本が抱える困った事情を考えます。
中で火事の原因がくすぶってたやんけ!
9年使ったHDDがっちゃんこ
これが『2.5・3.5インチドッキングステーション』。
12V電源であるACアダプタをこの丸いのに繋げ、また、HDDを差し込んだ状態でUSBケーブルでパソコンにつなぎ読み書きします。
電源を入れると側面のLEDが光り、パソコンから読み書きするとチカチカ点滅し動作中であることを使用者に知らせます。
壊れたので内部調査→ショートによる焦げ跡発見
先日LEDランプが点灯しなくなり、パソコンとの接続も不能に→仕方ないので背面板金のゴム足の下に隠れたネジを外し内部を覗いてみました。
真っ先に目が行ったのはアクセスランプ用LEDに繋がるケーブルの根元。焦げ付いています。
この部分にあるのはLED制御用のトランジスタのみ。オープンコレクタの端子を指令側であるICからの信号に従いLEDに対し電流を流す回路。大した回路ではありません。
問題はそこに繋がる線を固定するための接着剤と付近にあるGNDのビア。
どーも導電性のある接着剤の模様。LED用の電源と周囲のGND間がショートし接着剤が燃え上がった様子。
ショートしたまま9年間使ってたのか!?
回路自体は非常にシンプルな簡単回路。
12V出力のACアダプタが刺さるコネクタ前に、3.3Vなどの必要な別電圧の電源を作るためのDC-DCコンバータ。USBコネクタの前面にはUSB-SATA変換用のIC。
それらがSATAコネクタの電源部と信号部にそのままつながる簡単な回路です。
DC-DCコンバータの出力である恐らく設計値3.3Vをテスターで計ってみると0.6V。電源が正常に供給されてない状況。これが現在動かない原因。
基板をよーく眺めてみると、DC-DCコンバータの出力側のアルミコン周囲が変色しています。また、写真では分かりづらいですがその周囲に液漏れしたような液体痕。
上の接着剤部分のショート状態にも関わらず、これまでは必死に耐えてたことが伺えます。
困ったことにDDコンてそんだけ頑張れるんだよ
DC-DCコンバータとは、例えば12Vの定電圧を突っ込んで、5Vや3.3V等の別電圧の電源をプリント基板内で新たに作成する方法。
DDコンICがFETにオンオフ指令を出し、入力である12Vを出力側が目的の電圧になるよう高速スイッチング。余剰電圧分を熱に変換することで降圧するレギュレータに比べ非常に高効率。
“電源”とはダムのようなもの。ここではACアダプタも“電源”、DDコン出力も“電源”。そこから流れ出る水流が電流に相当し、流出分より多く雨をダム側(入力側)に降らせ供給電流を確保。
ACアダプタに「12V1.5A」と表記してあるものは「使用する電流が1.5A以下なら12Vの電圧を出力し続けますよ」と言う意味。
もし1.5A以上の電流を流してしまった場合、大抵は12Vが垂下、または、異常検出回路が働き自動シャットダウン。
今起きてた現象は、接着剤によるレアショートにより過剰な電流が流れ続けるも、目的の電圧(恐らく設計値3.3V)が垂下しないまま9年間持ち堪えてたというもの。非常に危険な現象。
普通はショート状態になった場合には緊急停止、または、回路が破損し電流を止める構造になるよう設計します。「想定外の電流を流し続ける=火事の原因」なので。
今回のは接着剤部分のみが燃えただけなので幸い直接火事に繋がるものではありませんでしたが、製造物責任法PL法に縛られる日本メーカなら一発倒産を想像しちゃう震え上がる案件。
これが中国製品。
以下写真でも分かりますが、電気回路をぶった切って製品を世に放つのが中国メーカ。日本メーカじゃあり得ない作り方。
デジタル後進国に必要なもの
でも忘れてはいけないのは“9年間気付かずにいた”って事実=何が良い品か評価不能。
デジタル機器は一部の破損ですべてが停止する複雑システムの上に乗っかったもの。大掛かりなシステムとなればそれが原因で大被害。
現実にこの経済大国のメインの証券取引所を取引停止に追い込んだ日本メーカも。噂では駅伝の優勝旗すら管理できない会社だそう。
“証券取引所の停止”=“経済活動ができない戦争状態”←このコトの重大さすら理解できない日本メーカが現実に存在し、恐ろしいのは東京証券取引所がそんな低レベル企業に発注したってこと。
何が良い品か評価不能で尚且つ怪しい会社が受注してしまう現実。
結局必要なのは“経験則で判断する信用”。
信用での判断が必要なのに有権者側が価格優先すればデジタル後進国からの脱却は夢のまた夢ってことに。
安さ・スピードのみ注目し責任の所在が曖昧になる外注駆使の安物企業に発注=間違いであると国全体で認識する必要があります。
社員に対する責任から逃れようとする企業=派遣社員フル活用の会社に製造業は無理。
たかだか¥1,500のサプライ品の障害事例から国家のデジタル施策を語るスーパースペシャル飛躍論法。
んでも“9年間気付かずにいた”ってのはマジで恐ろしい事実。内部のDDコンだけでなくACアダプタも耐えてたってことなので←無駄な電気料&火事の危険性。
うちのサイトにはこーいったすべてを保証できない、中国製のキワモノ品の広告がたくさん貼ってあります。
理由は基本的に千円台でしか販売されないようなPCサプライ品は中国製以外無いから。
俺を筆頭に消費者が信用<価格で行動してるのが大根元なんだよね。困ったなこりゃ。
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