ポク太郎です。
エージングに関する自分の私見をメモ。自分が経験した状況証拠を元に独断と偏見で理由付け。独断と偏見。
対象はバックロードホーンの箱
「2ヶ月位鳴らすと音が良くなった気がするんだけど?」等、Yahoo知恵袋や教えてGooなどに質問されているのを見かけます。
主な原因はスピーカユニットのエッジ部分と木製の箱-エンクロージャ。滑らかに動くようになる、木材の構造的なストレスが弱まるなどが原因と言われています。
ここでの話題は「自作バックロードホーンスピーカのエンクロージャ」のエージング。
大量の板内蔵したバックロードホーン
|
|
色んな作例があり、色んな形がありますが、一般的にはこのように階段状に広がっていくホーンを大量の板で構成します。
この例では、一台当たり板を39枚使っております。
桁違いの変わりっぷりに気付くまで
初心者であった頃、「バックロードホーンの場合、エージングによる変化はほぼない。」との解説を見ていました。
その当時はMDF、コンパネで作成したりとまだ板材を確定させてなかったのですが、結果は自分の作品でも同様。
「エージングでは変わらねーんだ。」←解説と同様にこう判断していました。
フルレンジ一発のバックロードホーンですから、大抵はその音に感動。私も確かに感動しました。
が、人間とは欲深いもの。もうちょっとこう…、もう一息こんな感じで…、などと思い始めることになります。
そうやって何作も作ることになるわけですが、思い通りの音が実現できず。
思惑と違うので、自分は変化なしと判断してるエージングに期待するも、数ヶ月待っても変わらず。確信できるような変化はありませんでした。
こんな感じで五作目まで作ることに。
当時気にしてたのは、音道の正確さとホーン形状の滑らかさ。理論値とのズレを合わせようとし、複雑な接合を試したり、スタッガードに浮気してみたり。
ただ、これだけ作ると木工作業の精度が上がったのか、ビリビリ振動する部位が目立つように。
初心者からすれば多少の振動は嬉しいもの。が、ちょっと酷すぎレベルな共振。音出す機械が共振しちゃマズイだろうと、やっと構造的に弱いことに着眼。
六作目辺りから寸法、ホーン形状より、板の切断精度、クランプに拘るように。そうすると呼応するかのように、完成直後(乾燥後1、2日後)が酷い音。
あまりに酷いので一旦は「やっぱりダメか。」と凹みますが、これが正解。不思議なことに急激に変化し始めます。
板がたくさん接合されてるんだからエージングでの変化っぷりも桁違い。
つまり、エージングにより変化がなかった頃は→“ちゃんと作れてなかった。”
最終的な自分の結論は、「バックロードホーンの場合、エージングによる変化は桁違い。」作り方にも依ると思いますが。
自分で勝手に納得するエージングの解釈
低音がドスンッとなったタイミングで凄く濁った音。付帯音が付加されてるように聴こえます。確認作業中でも不快感、嫌悪感を感じるレベル。
自分が考えるスピーカ製作の腕を試す一番いい方法は構造用合板。針葉樹を貼り合わせた合板なので凄い反りが発生。それで正確に作り上げられるかどうかが試金石。
同じく反りが大きいコンパネでもOK。集成材やMDFだと気付き難いかも。
板が反る理由は反った方が安定だから。バイメタルと同じ。それを四方八方から平面状に強制するわけですから不安定、つまり、テンションが張った状態。
テンションが張ったものほど共振するのは簡単に想像付きます。
それを組み合わせて圧着したスピーカは、ホーン内を伝わる低音に共振→振動→余計な付帯音を発生させます。
が、木材は生き物=水分を吸収して変形。スピーカが出す音、共振による微振動+湿気などの水分でストレスなしに変化。←ここは特に強い推測ですが。また接着剤も水性の使用。
こうなると、余計な付帯音が消滅し、スッキリしたいい音に変化。
何故これが5時間程度で起きるのか、腑に落ちない点はありますが、何せ全く違う音になります。
スピーカ製作の試金石
そのために、直線、直角精度、クランプが重要に。そこがクリアできて初めて、斜め接合、その他工夫が生かされます。
変わったなぁと確信し始めたのは、下のような冶具を考えて使うようになった頃から。
まずは、理論を実現する腕。特に相手が木の場合は。
「長岡スピーカは低音が出ない。」「推奨箱作ったけどクソ。」そう判断する前に自問自答「ちゃんと作れてるのか?」←気付くまで時間が掛かりましたがコレ重要。
最近は、安いので成功したのか確認できるので構造用合板ばかり。なので、MDFでのエージングの変わりっぷりは分かりません。
が、反りのある板で作ってみる←これがスピーカ製作に耐え得る木工技術があるかどうかの試金石にできそうです。
コメント