ポク太郎です。
およそ8年前、2012年頃に購入した三菱製液晶モニターRDT272WLM-Aの電源が入らなくなりました。
まぁ電源スイッチが効かなくなったのは購入直後ですが、先日、”電源スイッチを押さないと電源入らない設定”にしてしまい再投入不可能に。
仕方ないので分解し故障の原因を調べ、修理しました。
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本記事の内容は絶対に真似をしないようお願いします。内部にはインバータの高電圧もあり非常に危険です。また下記の盲点も存在します。何があっても筆者は一切の責任を負いません。
自己責任了解とタカをくくってる方も以下をしっかり認識した上で思い留まって下さい。
1. 液晶ディスプレイの電源入らない
価格.comなどの口コミを見るに、この時期の三菱製品で頻発してるとの情報。うちも購入直後に電源スイッチが効かなくなりました。
対処方法は、MENUスイッチから入る設定のECO PROF.-3.電源自動オフを「しない」に設定。
これはパソコンの電源を切ったりスリープに入った場合に、モニタの電源を切るかどうかを設定するもの。
しない | モニタの電源入れっぱなし設定。 PCから信号が無い時(PCの電源断やスリープ時)はパワーダウンモードで待機。PC立ち上げると信号検知し自動でモニタ電源オン。モニタの電源ボタン操作なしで画面映す消す設定。 |
する | PCから信号が無い時にモニタの電源を切断する設定。 再投入する場合はモニタ電源ボタンを手動で押して電源オン。 企業などでは大量に稼働するモニタの待機電力もバカにならないため、最近は社員に手動で制御させる傾向。その用途向け設定。
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上記のように「する」に設定した場合、次回モニタ電源入れる際「電源スイッチを押す」ことで電源を投入します。
今その”電源スイッチ“が壊れてる状態なので、設定を「する」にしてしまうと二度と電源投入できない事態に。
ジジイポク太郎、それをやらかしてしまいました。仕方ないので内部を開き電源スイッチを直します。
こだわりPCディスプレイってナナオ位しか…。
2. 老体にムチ打ち製品を分解
ネジは背面だけ
薄い構造なのですべてのネジが背面に。中央とモニタ底辺部に集中しています。
周囲は樹脂ツメはめ込みだけ
プラスチックはブニョンと弾性があるのでそれを利用してツメをはめ込み固定するタイプ。モニタ周囲はすべてそのツメで固定されています。
ツメを外す場合は太いマイナスドライバと細いマイナスドライバ。
まずツメの遠くから細いの突っ込んで、次に太いの突っ込んで…と次第にツメに近寄るように迫っていき、付近でドライバを少し回転させると外せます。
広がらないよう(ツメが更に引っ掛かることのないよう)、指で挟み浮かすようにするのがコツ。
モニタ周囲ぐるっと全部ツメ。このモニタの場合、画面の底辺から外してくのがベターの模様。
また、底辺角の部分は下のようにモニタの縦方向にドライバを突っ込むとサイドの辺が少し開きました。そこからはまた同様に細いの→太いの順番に。
無理してバキッといかないよう慎重に外し背面の蓋を取り除きます。
3. 電源入らない原因はスイッチ素子の故障
各4本づつネジ止めされております。それを外すとやっと問題のスイッチ基板。以降”スイッチ基板“と表記します。
押し棒が長いロングタイプのタクトスイッチ。ちょっと変わってるのは垂直に押されなくてもオンオフできるタイプ。多少斜めに押してもOKなもの。

が、故障部位はこのタクトスイッチ。テスターでチェックしたところオン状態にできません。これが電源入らない原因。
訳の分からないタクトスイッチなんか使わず、こういう樹脂一つ作れば済む話だろう?

部品点数と製造工程が1つ増えるが、重要な重要な“スイッチ見えないデザイン”が故障無しで実現できるだろう?何でもかんでも納入先の商品で片付けようとスンナ。仕事しろ三菱の開発部隊。
どうせ高っいんだろう?この変なスイッチの値段。コストダウンだ、コストダウン。
4. 変な構造故に直す方法が面倒
オフ時抵抗∞、オン時抵抗0Ωのオンオフスイッチ。ライトアングルがなかったので使うのはストレート。
ただし、タクトスイッチのストロークはせいぜい0.5㎜程度。モニタ内部に隠れてしまい指も入りません。
スイッチ基板の配置は変えられないので「長い棒を介して下から上へ押す構成」である必要が。でも押そうとする度に棒切れを探すのも面倒です。
そこで皿ネジ。ちょうどスイッチの棒を通す穴は、M4のネジが通り頭の部分が引っかかる太さでした。
樹脂からタクトスイッチまでのギャップもちょうど皿ネジの頭+2㎜程度。なので誤って皿ネジが製品内に転がり込むこともありません。
5. 改造スイッチ部の詳細
タクトスイッチをユニバーサル基板に半田付けし固定します。写真のように3×4マスにカットしヤスリがけ。スイッチ基板と同じ位置に置けるよう微調整。
分かりにくいので先に完成時の写真。
左がタクトスイッチを付けたユニバーサル基板、右が製品のスイッチ基板電源スイッチ部。上が上から見た図、下が横か見た図。
一応押される方向に力が掛かっても耐える構造が必要です。
なので端子板のピンで柱。ただし、端子AとBがショートしないように直角に曲げ端子Aから遠ざけます。また、片方はピッチを合わせるため階段状に。
下が合体させたときの図。ポイントはスイッチ基板に建てた柱とユニバーサル基板のタクトスイッチ側で半田付け。(ユニバーサル基板裏でなく)
理由は、ボタン(黒い部分)の下~樹脂の穴の間には余裕アリで皿ネジの頭が入らないといけないから。要はユニバーサル基板の位置を上寄りに。
6. では改造作業
●壊れてしまったスイッチの除去
●それが半田付けされてたスルーホールの復旧
●細かい部品を形成する際のコツ
DIP部品外し方
スイッチ基板には壊れてしまったスイッチがぶっ刺されて半田付けされています。それを除去します。
細い棒を基板とスイッチ間に差し込み半田面の該当部位を溶かします。ピンセットが便利。溶かしながらピンセットをグリグリ差し込んでいくと外れます。
半田吸い取り線でスルーホール復旧
基板の表と裏を導通アリで繋がる穴がスルーホール。現状半田で穴が埋まっています。それを除去するのが半田吸い取り線。
銅線が網のように編まれており、該当部位に吸い取り線を当て上から半田ごてで熱すると毛細管現象で半田が吸い上がってきます。それを使いスルーホールを元通りに。
細かい部品の作業台はニッパー
1㎝角に満たないスイッチなので動き回って作業がしづらいです。なので、ニッパーを作業台に。ニッパー刃の裏に空洞があるのでそこで挟んで固定します。
7. 液晶モニタ修復完了
モニタを組み立てる前にテスターでチェックしておきます。
問題なければ組み立てて電源投入。電源のLEDが点灯しました!
一応直りました。
が、これはスイッチそのものの問題。仮に同一のスイッチに入れ替えたとしてもまた同様に壊れる可能性大。なのでスイッチ自体を使わないのが得策。
最初に載せた画像ですが、電源スイッチを触らなくてよい設定はこれ。「しない」が正解。
諸悪の根源はコイツです。

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