ポク太郎です。
大量登場人物と施設の老朽化状況、闇の深い社会問題も複雑に絡み合うかなり複雑な『オレンジイズニューブラック』。
主人公が美人女優で多数のアホキャラが登場するので“軽いドラマ”と受け取りがちですが、上記複雑怪奇がすべて連鎖する非常によく練られたドラマ。
一気見して「ハイ、終わり」にするにはあまりにもったいないので、その傑作を髄までしゃぶりつくすためのシーズン3回想シーン解釈です。
『オレンジイズニューブラック』シーズン3までの を含みます。
OITNBシーズン3の回想シーン意味・解釈・目的
シーズン3第1話『母の想い、娘の想い』
多数 | S3E1『母の想い、娘の想い』 |
回想内容 | ・幼少のドゲットにボトル全部飲ましハイ状態を社会保障局で見せ付け生活保護の増額申請する母親。 ・息子マイケル出産目前。バーセットと妻クリスタルの幸せ状態描写。 ・幼少のニッキーが準備した母の日の贈り物を無視しスパへ行く母親。ニグレクト状況の説明。 ・プッセイ母親の童話朗読風景。 ・精神異常のヒーリーの母親紹介描写。 ・ダヤ出産時、母親アライダは亭主と幸せ噛みしめ。 |
物語上の意味 | 刑務所の特徴紹介目的。 全員が楽しみに待つ母の日の面会。刑務所内に子供が入れる日。各人の母親との関係を伝える目的。また、軽犯罪用の軽警備刑務所で“受刑者の興味事=子供”の強調。全員、子供が悪人に育つのを防ごうとする母親。
他の動き)
前シーズンラストのローザ脱走、ヴィー死亡を受け、所内が状況変化。脱走させたローナは運転手クビ→便所掃除、アレックス出戻りクブラ恐れる、店潰れた件レッドに伝達。 |
シーズン3第2話『シラミどころじゃなくて』
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S3E2『シラミどころじゃなくて』 |
回想内容 | ・ベネット伍長が戦場入り。現地指揮官に見下される。 ・見世物ダンスやらされ、理解できない現地のイスラム兵士に親切に説明。 ・基地内のイスラム兵反乱。他の隊員は手榴弾に被さり命を張るが、ベネットは手榴弾を蹴り返せずただ伏せってうずくまるだけ。 |
物語上の意味 | ベネットの人物紹介目的。 態度は崇高でできた大人を振る舞うが重圧には耐えられない人物。パウエルの養子提案に反対しダヤにプロポーズ。が、セサルの養育風景を観察してコトの重大さを実感し、ダヤが使った幼児ベッド捨てて逃亡。ベネットはここで降板。 |
シーズン3第3話『共感は敵』
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S3E3『共感は敵』 |
回想内容 | ・薬が理由でタクシー盗もうとしてその場で事故→逮捕。 ・ニッキーの母親は富裕層→保釈→仲間の保釈願い、母親が金。 ・結局その金で薬。 ・弁護士との話でムショ送り決定。破滅を望む性格。原因はS1第六話、S3第一話の回想で説明された母親のニグレクト。 |
物語上の意味 | ニッキーの服役理由と人物紹介目的。 ニッキーの重警備送りの回。ヴィー製造の薬をルスチェック頼り一旦は所外へ出そうとするも自身が隠すなどの紆余曲折後、結局裏切られ重警備刑務所へ。誘惑には勝てず、頼る人物に見捨てられるキャラ。
他の動き)
リッチフィールド刑務所の閉鎖決定し刑務官らが気付きだす頃。カプートがフィゲロアを脅し、民間委託のアイデアが伝わる。 |
シーズン3第4話『本当の自分に嘘はつけない』
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S3E4『本当の自分に嘘はつけない』 |
回想内容 | ・ドレスを着せられた幼少のブーが母親とケンカ。父親が買収しやっと承諾。 ・バカにした少年を恫喝しナンパ相手に叱られケンカ「イカニモな格好してるのは自分」。 ・恋人とのシーン。病気で先が長くない母親の話を避け続ける。 ・ゲイの格好で病院へ。父親に着替えるよう強要されたブーは面会せず帰る。 |
物語上の意味 | ブーの人物紹介目的。 譲れないポイントは“自分を偽ること”。母親との別れの場より優先するほど。中絶医院の看護師射殺で反中絶教会から支援を受けるドゲットの話を聞き、自分のゲイ心理治療ネタに寄付金と画策するが、そこの牧師にタトゥー隠せと言われ結局ブチ切れて破談。
他の動き)
民間企業MCCがリッチフィールド刑務所の経営請負を決定。 |
シーズン3第5話『とことんイカサマ』
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S3E5『とことんイカサマ』 |
回想内容 | ・電話代欲しがる普通の高校生。母親は偽ブランド裁縫業。搾取工場のイメージ持つフラッカは裁縫業毛嫌い。 ・母親のバッタモン商売見習い、印刷用紙に水付けただけのニセ薬販売。結構繁盛。 ・フラッカの販売相手が屋上から飛び降り。 ・警官来訪し、詐欺と危険行為の容疑で逮捕。 |
物語上の意味 | フラッカの服役理由と人物紹介目的。 民間企業MCC経営スタートし、時給$1の高額報酬職の募集。叱られた腹いせに調理場担当フラッカが応募。ボスメンドーサとの関係に亀裂。採用後に判明した業務内容は女性下着の裁縫。苦労の末得たのは自身が最初に嫌った職業て結果。 |
シーズン3第6話『チン・トン・チャン』
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S3E6『チン・トン・チャン』 |
回想内容 | ・嫁商売として中国の田舎から出てくるが、見合い相手が“醜いイモ女”とクレーム。 ・働く店で密輸品納入のトラブル→存在感の無いチャンが調達役に抜擢。 ・取引相手がインチキ→戦闘→チャンが相棒フーを助け、貸し一つ。 ・“醜いイモ女”とクレーム付けた見合い相手をフーにリンチさせ胆嚢切り取る。 |
物語上の意味 | チャンの人物紹介目的。服役理由かどうかは不明。 バーディの演劇クラスで「恨み」を表現する演技としてチャンが披露した脚本。知り尽くす刑務所内で悠々自適に過ごすチャンの生活を紹介するエピソード。
他の動き)
パイパーがパンツ製造現場でステラと出会う、ニッキー重警備行きで寂しいローナが文通相手募りビンセント・ムチオと面会、色目で利用目論んだ相手ヒーリーにレッドが謝り調理場復帰。 |
シーズン3第7話『言葉にならなくて』
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S3E7『言葉にならなくて』 |
回想内容 | ・若かりしノーマがカルトの集会へ。導師「嫌いな自分でなく物語変える」“おでこに親指の腹”で吃音症ノーマ落ち着かせる。 ・“ノーマ・ムーン”として導師マックの妻に。その場で導師は他の女性信者とも次々結婚。 ・そのまま老人となり、失脚した導師には信者0。詐欺師として追われてる雰囲気。 ・自暴自棄になった導師マックがノーマに暴言→切れて崖から突き落とす。 |
物語上の意味 | ノーマの服役理由と人物紹介目的。 ここ数話で話題に挙がるノーマの癒しパワー。礼拝堂での集会が始まる回。自分のことが嫌いな吃音症ノーマを救った詐欺師殺害が長期刑の理由らしい。 現調理場責任者メンドーサのトラブル重なり、まじないを受けたレッドが調理場ボスに復帰。が、それでも癒しパワー信じないレッドにはMCC方針“食事は全部レトルト”で落ち。
他の動き)
卑猥すぎなスーザン小説をバーディ却下→テイスティが励まし勘違いさせ継続→ファン獲得。ローナ発案文通相手との持ちつ持たれつ振り込み&日本の使用済パンツビジネスからパイパーが新規ビジネス着想完了→弟カルに販売ページ作成指令。 |
シーズン3第8話『膨らむ恐怖と野心』
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S3E8『膨らむ恐怖と野心』 |
回想内容 | ・母親の葬式。神父の手抜きに憤るが売人仲間ファハリに慰められる。 ・ファハリにも無理強いしバーで遊ぶ。その間に仲間パクられファハリの仕事失敗。 ・ボスクブラの刺客警戒しホテルに避難。一緒に部屋に居た手下が刺客→ファハリ射殺。 ・クブラの目前に突き出され喝を入れられ脅される。 |
物語上の意味 | アレックスの過去と人物紹介目的。 “シカゴから異動された”ローリーが周囲うろつきクブラの刺客かとアレックスが恐れ始める回。シーズン2冒頭のシカゴでの証言により証人保護されたから。
他の動き)
食事の味を誤魔化すためのラーメン粉末スープでパイパーが商品精練者獲得。バーセットの息子マイケルとメンドーサ長男ベニーがツルむように。要望通りソーソーのカウンセラーがバーディに変更。元ドーナツ屋店員チャーリーが運転手ドゲットと外出。母アライダのパウエルへの金銭要求知り妊婦ダヤがメンデスの子に非ずと真実暴露。 恋人アレックスがクブラの刺客に戦々恐々とする中、
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シーズン3第9話『カルト教祖』
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S3E9『カルト教祖』 |
回想内容 | ・リアンはアーミッシュ信者。厳しい戒律の信仰で子息らは抜け出し薬パーティ。本当は信心深いリアンが道端に薬入りリュック隠し戻る。 ・リアンのアーミッシュ洗礼。そこへリュック見つけた警察来訪。 ・警察に脅され囮捜査。売った相手は他の信者の子息ら。 ・赤字続きで信者に離れられると困る父と母が言い合い。 ・父と母の信仰守るためリアンが教会を後に出立。 |
物語上の意味 | リアンの人物紹介目的。 リアンの教団組織化の動機説明。小バカにされがちなアーミッシュと現在のめり込むノーマ教重ねる→意見対立したソーソー追い出し。ノーマに叱られたリアンが謝罪するも、ソーソーとチャン二人にアーミッシュをバカにされる回。
他の動き)
パイパービジネス軌道に。製造:パイパー・ステラ、支給:アレックス、梱包:パイパー、輸送:ベイリー、販売:カル。スーザン小説にククーディオだけでなくデマルコ、フリーダまで夢中。ユダヤ食コーシャミールの消費急増でMCCが調査開始→修道女シスターだけユダヤテスト合格。誤解生むマイケル留置場騒ぎでバーセットとメンドーサが一触即発。 |
シーズン3第10話『恋の予感』
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S3E10『恋の予感』 |
回想内容 | ・ドゲット幼少期の初潮。母親が間違った知識教え込む。 ・そのせいで少年期は常習的に売春行為。ネイサンに一目惚れ。 ・ネイサンと経験し初めて意味知る。 ・ネイサンが引っ越し別れ。従来の売春相手が無理矢理→ドゲットがやっとレイプを理解。 |
物語上の意味 | ドゲットの人物紹介目的。 チャーリーが告白し、前回犬扱いしたドゲットとのわだかまり解消。が、これまでの外出から点呼を逃しクビの危険性。不安定なチャーリーがドゲットをレイプ。チャーリーは愛情表現のつもり。
他の動き)
“パンティー・ガール”フラッカがパイパーボロ儲け状態に気付く。襲い掛かったアレックスにローリーが白状→単なる妄想サイコと判明。自分の赤子と信じることでメンデスがまともになると気付いたパウエルが引き取りたいとダヤに。戦争勃発しバーセットがメンドーサに怪我させる。ローナが自分のスト-キング相手クリストファー情報与えビンセント・ムチオがお礼参り。 |
シーズン3第11話『ボスも楽じゃない』
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S3E11『ボスも楽じゃない』 |
回想内容 | ・幼少期のレスリング。最強相手に自ら当て馬立候補。肩脱臼で選手生命終了。 ・大物ツアーの前座に採用された時に、彼女リサがメンバーハンクの子妊娠。バンド離脱し面倒見る宣言。 ・子供生まれるてことで刑務所職員に就職。 ・ツアーで成功したハンクがレコード会社と契約し大成功。嫁リサがソッチへ。 |
物語上の意味 | カプートの就職動機と人物紹介目的。 前に出るタイミングを常に間違える人物。MCCの無責任経営に不満の職員が労働組合設立の気運。同じく不満を抱くカプートも同意してしまいリーダーに祭り上げられた回。
他の動き)
職員の組合設立知ったフラッカが団体交渉→パイパーが給与システム構築し、反旗翻したフラッカクビ。アレックスは呆れて離脱。リアンのソーソーイジメ開始、提督ドナルドソン登場のスーザン小説から原因演劇クラブのバーディ問題視され休職=ソーソー拠り所喪失。MCC経営が元で囚人取り違えアンジーが誤釈放←ノーマの奇跡として認識。ブーがドゲットレイプの件気付き激怒。メンドーサの怪我言いふらされバーセット四面楚歌。 |
シーズン3第12話『待ちに待った日に』
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S3E12『待ちに待った日に』 |
回想内容 | ・ダヤをサマーキャンプに出す話をアライダが母親に。 ・自分が遊ぶため娘ダヤをサマーキャンプへ。 ・キャンプに慣れたダヤを今度は戻ったアライダが連れ戻す。 ・帰宅しアライダがキャンプ否定。幼少のダヤが空気読み元通り。 |
物語上の意味 | アライダの人物紹介目的。 赤子売ろうとしたアライダに出産間近のダヤが邪険。出血しダヤ救急車。悩んだアライダがパウエルに死産だったと嘘電話。赤子は無事産まれアライダが手配したセサルの元へ。母親失格アライダが娘の反抗に悩み一人前の母親を目指す中、周囲の黒人から母親扱いされてると気付いたのはテイスティ。
他の動き)
パイパービジネスに深く関わるステラが出所間近と判明。バーセットイジメ本格化→未訓練看守が守れないため懲罰房で保護→メンドーサが罪悪感。バーディ失ったソーソーが薬オーバードローで失神→プッセイが発見。 |
シーズン3第13話『信ずるは我のみ』
多数 | S3E13『信ずるは我のみ』 |
回想内容 | ・幼少期のソーソーピアノ。死後に残るは功績とズルを認めない母親。 ・幼少ローナは儀式に興味なく、あるのはドレス。 ・イスラム教ジャネーの父親は陸上に反対。ユニフォームに対する宗教上の理由。 ・産婦人科にてメンドーサ。叔母ルーデスのまじないで娘の筈だった胎児が息子と判明。 ・幼少シンディの食前の祈り。つまみ食いで父親が激怒。 ・少年期ブーがレンジ故障し感電。レズ罰する神居なかったと安心。 ・幼少ヒーリーが母親の救いを求めに来た教会前で酔っ払いにゲロ吐かれる。 |
物語上の意味 | ソーソーは不正なカウンセラーヒーリーに屈せず。ローナは結婚式にトイレットペーパー製ブーケ。食事コーシャミール狙いでユダヤ改宗目指すシンディやノーマ教で悩むプッセイ、日系受け入れなど宗教絡みで揉める黒人グループにジャネーが苦言。バーセットに罪悪感なメンドーサがシスターに祈り。ブーの指南でドゲットが運転業務から解放。心通じないウクライナ妻に嫌気挿し思いを寄せたレッドにキッパリ断られるヒーリー。
他の動き)
《パイパーのビジネス》 母親の治療代に苦悩するフラッカがパイパーに嘆願し再雇用。弟カルから資金盗難情報→携帯探し回った際に見つけた禁止品を犯人ステラに仕込み重警備送り。疑われたフラッカと庇ったメンドーサ仲直り。 《アレックスの心配事》 クブラの刺客エイディンが看守に採用され、アレックス目前に出現。 《ドゲットのレイプ被害》 運転手ドゲットは失神演技で事故→運転業務外され後任はマリッツァ。 《ダヤの赤子》 ダヤの娘預かるセサルがDEAに逮捕される。 《バーセット懲罰房》 息子の相乗りが発端。シスターと原因メンドーサが気にし始める。絡むのはMCCの無責任経営。 《ローナのニッキー喪失》 ローナがビンス・ムチオにプロポーズ→レッド立会いの下結婚式遂行。 《ノーマの奇跡とスーザン小説とソーソー黒人グループ入り》 トースト・ノーマ発見するが、リアンに切れるプッセイがソーソー自殺未遂伝えノーマ教団完全崩壊。自殺未遂原因はスーザン小説問題視による頼みの綱バーディ休職→隔離病棟同情されソーソーが黒人グループに。 《刑務所全体》 前回カプートが指示したフェンス貼換工事を時の人ノーマが発見→ほぼ全受刑者が裏の湖へ。それぞれがわだかまり解消。シンディはミクワー(天然の水たまりに浸かる儀式)達成しユダヤに改宗成功。 |
第13話の表内「他の動き)」に表題を付けて書きましたが、シーズン3ではこれだけ多数のシナリオが同時に混在進行し、密接に絡み合っています。
なかなか初見時に全部把握できませんが、せっかくの傑作ドラマなので本ブログのようなのを利用して全部噛みしめて頂ければ。気付かずに一気見しただけではもったいないので。
『オレンジイズニューブラック』の魅力を髄までしゃぶり尽くして下さい。
コメント
オーバードローじゃなくてオーバードーズでは?
>うさぎさん
その通りです。
アンプからの配線をスピーカにつなぐ“ターミナル端子”を“ターミネーター端子”と言ってしまう爺です。お気を付け下さい。