ポク太郎です。
先日、撮影完了した続編『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』シーズン1を原作者ジョージ・R・R・マーティンが賞賛したと報じられました。
架空の二大陸各地の文化・特徴を細部まで創造した超スペクタクル小説『氷と炎の歌』。その小説オタクである脚本家D・ベニオフ、D・B・ワイス両氏の映像化が『ゲーム・オブ・スローンズ』。
非公開のパイロット版では「如何に小説に忠実か」を目指したっぽいですが、最終的には多数の修正を施しています。
ファンタジー好きでもない爺が大好きな理由はその“神修正”。
そこでスピンオフへの期待を込め、『ゲーム・オブ・スローンズ』での修正点の何がどう良かったのか個人的賞賛・感想・意見を列挙しました。
“修正”を賞賛する内容なので、原作小説のファンの方から見ると全く真逆の反応になると思われます。オリジナルでなく移植されたファミコン版を賞賛するようなもんなので。
シーズン7までの
を含みます。
原作者ジョージ・R・R・マーティンが白状
発言した場所は原作者ジョージ・R・R・マーティンさんのサイトNot a Blog。
中で、「“IMDBで最も期待されている新番組は…”とあるのを見てニヤついた」と白状。『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』の名前登場が明白なので。
第一話のラフカットを見て賞賛。
『ゲーム・オブ・スローンズ』同様、超有名俳優は少しだが同じく夢中になる、ガッカリしないよ、と『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』の制作陣二人を称えています。
●脚本・製作指揮:ライアン・コンダル/Ryan Condal
●監督:ミゲル・サポチニク/Miguel Sapochnik
どちらかと言えば、世界観秀逸でも物語遷移が安直な原作より、修正したブラッシュアップ結果を賞賛するポク太郎。当然『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』にもそれを期待してしまいます。
そこで、前作『ゲーム・オブ・スローンズ』で行われたブラッシュアップ結果=神修正がどんなものだったかを以下に振り返り。
脚本家D・ベニオフ、D・B・ワイス
両氏の偉業です。
S5バレ もちろん注目は自爆サーセイ!~原作神修正1
父タイウィン公の後ろ盾を失ったサーセイがタイレル家に怯え、対抗する場面。
原作 | |
神修正 | 策仕掛けるに当たり邪魔なタイレル家当主を王都から追い出した上、少数派=罪とする七神正教狂信者に権力を与えロラス投獄→本命マージェリー芋ズル投獄。 結局、リトルフィンガーにチクられ自分も投獄→全裸歩行。 実際に策を仕掛ける場面を画面上でやって見せました。 |
一つ一つの事象が原因・理由となり結果へつながるから“この物語面白い”、でないと聴衆は???状態。原作のバラバラな事象を原因→結果→次の結果と連結させました。
特に原作「ケヴァンが行った莫大な借金対策=財務大臣派遣」を修正「サーセイの邪魔者追い出し」に変えた部分に感動。
鉄の銀行への派遣命令は同じでも、ケヴァンがやるのとサーセイ
がやるのとでは意味が全く違います。
“魚のアラで高級料理”、“生産現場のクッキー屑で新味アイス”を賞賛する、もったいない文化の日本人ポク太郎。
原作に存在する要素をそのまま別の意味に仕立て上げ利用した点に大拍手を送っています。
また、ただ“策謀好き”と言葉だけで表現すればいい小説と違い、俳優の顔が付く映像では具体的にやって見せる必要が。それを実現し視聴者にハッキリとサーセイの人物像を見せ付けました。
S4バレ タイウィンの人柄で古代強調・人物像濃縮~原作神修正2
父タイウィン公がティリオンの大切な娼婦シェイを軽んじる場面。
原作 | |
神修正 | ティリオンの元嫁は正真正銘の娼婦。タイウィン公の“元嫁”を認めない態度を“差別によるもの”に修正し、古代・人柄を強調。更に娼婦シェイを本命にし重厚な人物像構築。 |
何らかの理由でタイウィン公が嘘「ティリオンの元嫁は娼婦」→トラブルとしていましたが、策謀的なものより“頑として娼婦を認めない差別”で話を作る方が大昔感満載。
そもそも息子を騙す必要も見当たらない不透明な動機を、「名家に卑しい身分招き入れること絶対に許さず」と明確な理由に変更。
元嫁ティシャもシェイも正真正銘の娼婦とすることで、ティリオン=「身分制度×、職業差別×」な現代に通ずる先進的思考の人物として表すのにうってつけ。
差別親父に納得できない“現代人から見た良識的な人物”を強調し、被差別側である小人症の人物像にも説得力。
逆に、タイウィン公=家の威厳死守に邁進する古代の厳格な権力者と強調。人物像に100%合致。
また、シェイを本命にすることで、ここでの殺害が非常に哀しく、崩壊感、喪失感、虚脱感を視聴者に浴びせるものに仕上がりました。
S5バレ 行動集約でメインキャラ増員~原作神修正3
ルース・ボルトン→リトルフィンガー、野人マンス・レイダー→ブライエニーに行動を集約し、リトルフィンガーとブライエニーを重要キャラに変更。
原作 | |
神修正 | 多数の人物に分散してた細かい行動をリトルフィンガーとブライエニーに集約させ、キーマンを整理しスッキリさせました。おてんばアリアは一人で海外脱出、ウェスタロス内に留まるのはレディサンサと人物像に合わせた修正も行い、人の動きもスッキリ化。 |
大量の登場人物を有する『ゲーム・オブ・スローンズ』。
脇役は描写が少ないから脇役なのであって、集約すれば結果的に重要キャラ増加。大量の登場人物故にスッキリ化は必須だし、メリハリも生まれます。
これにより、極悪人間リトルフィンガーが生まれ、視聴者も認める英雄ブライエニー
が完成しました。
ドラマを振り返ってみれば、この二人は『ゲーム・オブ・スローンズ』に必須の要素に変貌しています。
S6バレ バッサリ切って不用品削除~原作神修正4
原作において被る要素“デナーリスへの求婚”。マーテル家長男とグレイジョイ家叔父がデナーリスの元へ求婚しに向かいました。既にあったのはクァースザロ・ゾアン・ダクソスによる求婚。
原作 | |
神修正 | 先の大戦ロバートの反乱の一番の残題は故エリア后を惨殺したマウンテンに激怒するマーテル家。でもシーズン1にて説明を端折り視聴者には伝わってない内容。そこでマーテル家の話はバッサリ削除し別で利用、同じく無駄なグレイジョイ家の話も削除し、王都vsデナーリスの一騎打ち、他はそれを補佐する役割に変更。 |
この物語の理解に重要なのは先の大戦ロバートの反乱。そこで発生した因縁がマウンテン擁するラニスター家と恨むマーテル家。
原作では当主ドーラン・マーテルはロバート王に隠してターガリエン家の生き残りと同盟&婚姻の約束→それで長男が求婚に向かいました。
ドーラン・マーテルとは、非常に慎重だがとんでもない計略を考えてる要注意人物。が、慎重すぎでドーンの強硬派から信奉されなかった、と修正。
強豪を残す=それ相応の策謀を実際に表現し視聴者に見せ付けないと陳腐品に早変わり。なのでその見込みが無いなら削除が妥当。
また、グレイジョイ家のヴィクタリオンはただの無駄。デナーリスに求婚予定の兄ユーロンの使者として訪問し、裏切って自分が求婚しようとしてる陳腐なもの。
自分が崇拝する原作者の作品、熱狂的なファンを持つ小説の映像化品においてバッサリ行くのは恐らく勇気のいること。
が、これ残してたら「のび太が夢中になったライオン仮面→オシシ仮面→オカメ仮面」と同じと『ゲーム・オブ・スローンズ』が酷評されてたと思います。
よくぞ決断したと拍手。
この辺が小説ファンとドラマから入った人間との受け取り方の違いとでも言いましょうか。小説ファンからすれば本投稿は“ニワカの見解”に見えること必至。まさに劣化したファミコン版賞賛!て感じの。
S3バレ 苦しいファンタジー削除しリアル感~原作神修正5
原作での矛盾する人物像はキャトリン。また、ちょっと発散しか見えないファンタジーは兄弟団率いる亡霊石の心ことキャトリン。
原作 | |
神修正 | 亭主と離れたくないキャトリンは王の手就任反対。また、いくらファンタジーでも“亡霊”まで持ち出すと収拾付かなく→兄弟団からキャトリン要素削除し光の王へ変更。 |
実家タリー家の“義務”を全うし初対面のエダードと結婚→自分が亭主に与えるすべて=子供らと捉えるキャトリンなので、悪夢は亭主の出張。
ロバートの反乱時にジョン・スノウ、グレイジョイの反乱時にシオン・グレイジョイ
なる子供を連れ帰ってきてしまいました。王都行き反対が必然。
また、問題の石の心。
キャトリンの恨み・怨念の強さ表現にはいいですが、とするとロブや歴史上の人物の怨念は小さいのかて話になったり、そこら中亡霊化し始めたりと発散しかしない要素。
映像化も難易度が高いので不用品として削除。まぁ英断だと思います。
S7バレ 初期から正統後継者変更仕込む秀逸な保険~原作神修正6
落とし子ジョン・スノウの正体は正統な後継者エイゴン・ターガリエン。
原作 | |
神修正 | ジョン・スノウの正体を、正式な結婚の元に生まれた正統な後継者に変更しました。 この大変更がドラマ開始前から計画済・仕込み済だったことが事前動画から伺えます。 |
原作での王子レイガーと故エリア・マーテルの子供の名前は王女レイニスと赤子エイゴン。300年前にウェスタロスを征服した兄妹の名前を受け継ぎました。
シーズン1ブルーレイメディアに収録された短編事前動画では、王女レイニスの名前は明言されてるのに、赤子の名前には一切触れられておりません。
→シーズン1の段階で公開されたものなので、その時点から正統後継者大変更案の可能性を残したものと思われます。
エダードが妻キャトリンにすら落とし子の真相隠した理由はそれ以外で話作れないんだけど、形が見えてないシーズン1開始前にそこまで整理するのは多分不可能。
まだ未完である原作を追い越す可能性も考慮し、もの凄く些細なことで物語全体をひっくり返せる要素を仕込んで備え。
見通せない数年後に対するその保険の掛け方に拍手。
)これはちょっと買いかぶり過ぎてたみたい。
見直してた所、シーズン3でのミアのソロスがクレゲイン家の罪として以下発言をしており、「エイゴン太子」と名前を暴露してしまっております。
引用:『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン3映像
S3バレ もちろんトリは自爆サーセイ!~原作神修正7
王都に居座るタイレル家を疑うサーセイがロラス-サンサの結婚話掴みタイウィンにチクった場面。
原作 | ロバート王亡き後、娘サーセイの再婚先を思案する王の手タイウィン公がタイレル家、グレイジョイ家、マーテル家提案→サーセイがオベリン指名するも断られるとの安直な話でした。 |
神修正 | タイレル家の水面下での画策に怒ったタイウィン公が対抗策「ティリオン-サンサ結婚」。 タイレル家だけでなく大嫌いな弟ティリオンも凹ましたと有頂天になるサーセイにタイウィン公「お前もだ」と少数派ロラスとの結婚を強要。“策謀好きなマヌケ”を具体的表現。 |
物語遷移としては「誰かが発言→言われた人物が応答」よりも「誰かが何かを狙う→人柄や事象が絡みこんな結果」の方が圧倒的に面白いもの。その方が“予想付かず”だから。
ここでの“絡んだ人柄や事象”とは、
- タイレル家が最大軍事力北部の生き残りに触手。←納得
- タイレル家の勝手な行動に王の手タイウィン公激怒し対抗案。←納得
- 北部まで進軍したことないラニスター家の嫁に生き残り最適。←納得
- 「大嫌いな弟の相手が中学生」をサーセイ喜ぶ。←納得
- “家”のみ考えるタイウィン公が大富豪と縁組命令。←納得
- “家”のみ考えるタイウィン公が娘に縁組強要。←納得
- 色女サーセイから見て少数派は絶対嫌。←納得
言われた側一人の反応より、多数の事柄・人柄がドミノ倒しのように連鎖し結果をもたらす←予想できず。
目障りなタイレル凹ますためサーセイがスパイさせた情報がすべてのスタート。
ここではその複雑怪奇な連鎖をマヌケ女帝サーセイにピッタリ着地させた部分に驚愕。まさに神がかった修正であり、スタンディングオベーション状態。
映画評論家でもない、小説作家でもない単なる一視聴者ポク太郎が重視するのは“秀逸な物語展開”。
原作者ジョージ・R・R・マーティンの作り上げたのは秀逸な世界観。失礼発言しますが、まだその段階では“完璧なモノ”ではないと主張します。
その世界観を題材に物語展開を構築した二人の天才脚本家D・ベニオフ、D・B・ワイス
に感動してるてこと。
さて、続編『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』を任されたお二方ライアン・コンダルさんとミゲル・サポチニクさん。D・ベニオフ、D・B・ワイス両氏を超えられるでしょうか。
是非超えて伝説となって頂きたいと思います。期待しております。
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