ポク太郎です。
この『ゲーム・オブ・スローンズ』を“悲惨なドラマ”と強く印象付けるのは、最初に主役として見せ付けるスターク家。
単なる作り話ですがネタもないので、そのスターク家の悲運の原因を考えてみました。
シーズン3までの
を含みます。
政治力抜群のキャトリン・スターク

ドラマ開始直後、クローズアップされるのは現代人に通じる一般的な幸せファミリースターク家。
弓矢の練習をする子供、親の言いつけを守れず塔に登る子供、王の行軍に興奮する子供。現代と同じ価値観を強調しながら大昔の素朴な環境をアピール。
その幸せファミリーの中核を成すのが母親キャトリン・スターク。
子供が言いつけ守らないのも、塔登りが得意で心配ないことも承知。が、嘘は見抜いてんですよと諭し、子供が一線を越えないよう制御する一般的な母親。
タリー家から、七王国屈指の大人物エダード・スタークに嫁いだ果報者。
当然このキャトリン、一家の母親だけでなくウェスタロス大陸北部を与るスターク家の奥方。
戦時には同盟交渉へ向かう勅使として活躍。一方的な要求しかしないバラシオン家では、言い回しの虚に騙されずちゃんと突っ込み。
が、古代の物語ですから、祟り、天罰が理屈の中に。
子供の流行り病治してと神にすがり、祈りの最中に神に誓った約束破った→無関係の悲劇起きた、と嘆いたりも。
キャトリン・スタークはそんなお方。
独断での一大事行動=“暴走”
1. 独断でティリオン拉致
2. 独断でジェイミー開放
以下、これについて考えます。
1. 独断でティリオン拉致
背景のあらすじは、
→刺客の保有してた短剣の持ち主を調べるとティリオン。
犯人探しの旅に出ていた王都で短剣持ち主の情報を得たキャトリンは、たまたま道中で遭遇したティリオンを拉致してしまいました。
ティリオンに同行してた壁の採用係ヨーレンもビックリ→エダードに連絡。
このとき、ティリオンは決定的なことを言っております。
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「ヒットマンに身元が分かる自分の短剣使わせるか?」 |
ホンコレというヤツ。
ダメ押しの刺客まで送ってるのでブランを狙ったのは確定。
スターク家には文句なしの世継ぎロブ、同じく幼いリコンは狙われてない=10歳の子供を狙う特殊な事情。
ティリオンを陥れようとしてる者がいるとラニスター家、少なくともティリオンを犯人捜しに利用できたはず。
このティリオン拉致が元で、
→ラニスター家がキャトリンの実家であるタリー家へ侵攻。
→王の手エダードがタイウィン・ラニスターに償還命令。(決定的な態度)
まぁここは小鬼インプを得体の知れない者と扱ってた大昔。まともに取り合わないのも仕方なし。特にキャトリンは因果関係をこう考える人。
なので、これに関しては仕方ないにしても、気になる失態はこっち。
2. 独断でジェイミー開放
背景のあらすじは、

人質ジェイミーは逃亡のため牢の番をしていた旗手リカード・カースタークの息子を殺害。味方の軍が大事な人質ジェイミーを今にも殺してしまいそうな勢い。
娘を取り戻せなくなると心配したキャトリンは、絶対に娘を返せと誓約破りジェイミーに誓わせ開放してしまいました。
ロブの部下もビックリ→タリサと薬品調達デートしてたロブに連絡。
このとき、シオン・グレイジョイがウィンターフェル城を占領。武術指南役ロドリックの死が直前に伝わっていました。ロブ軍は孤立無援の状態。
が、北部から絶対の信頼を得るスターク家。信頼できる旗手は山ほど。王都ではなく、双子城を迂回してリード家に護送してたら?何故王都?
キャトリンの心配事は、娘が今にも手に掛けられそう、ではなく、交換要員ジェイミーを失うこと。
“ジェイミーを確保”=“急ぐ必要ない”。
元々ロブは「今、王都へ救出に行かないと北部の兵は二度と挙兵しない。」と進軍を決めていました。
が、状況が変われば“孤立無援”が愚であること位気付きます。
ロブが帰還後にウィンターフェル城奪回を思い直す可能性も。
また、ウィンターフェル城には学匠ルーウィンが健在でした。
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ヴァリリア鋼でできた学匠の鎖を持つ、知識の城シタデル100人に一人の天才学匠。 |
仇討ちを急ぐカースタークに、「学匠ルーウィンは知識の城のスーパーエリート。城奪回後、絶対に死ねない世界一悲惨な拷問を試す。」
自分には信頼できる女戦士ブライエニー。自分の部屋でジェイミーを目隠し+ぐるぐる巻き+ブライエニーの監視。
さすがにこの夜に君主の母親キャトリン殺してまで仇討ち実行はないでしょう。一晩策を練る時間も捻出できました。
可能性なんていくらでも。時間稼ぎだってできたはず。
このジェイミー開放が元で、
→カースタークがラニスターの子供殺害して処刑。
→カースターク家が離れ、ロブの兵力半減。
→頼らざるを得なくなったフレイ家の裏切りにより破滅。
上記の全ての根源はジェイミー開放により、まだ半人前の若年ロブを諌められなくなったこと。(常に話を持ち出されるので)
解放前にジェイミーとなんだかんだ罵り合いをしておりました。自分の部屋へ連行する位の余裕はあったはず。
結局さー、このキャトリンの独断行動が元で、無関係なはずの実家タリー家まで壊滅状態になってんですが。いけませんねぇ、独断に即断。
勝手な決め付けで可能性を排除→致命傷。これぞまさにドラマ。
このドラマ、どうしてもスターク家を主役に見てしまうので、キャトリンの上記行動が歯がゆくて仕方ありません。年甲斐もなく入り込んでしまいます。
ベイロン・グレイジョイもウォルダー・フレイも信用しちゃイカンと一番分かってたのはキャトリン。
なのに、そのどちらからも未経験のロブを守れませんでした。
よく考えたらエダードの王都行きも反対してました。嗅覚が一番鋭いのはキャトリン。やはり母親。
軍の一将兵でなく母親として、絶対に×なことを制御できれば良かったのですが。
いきなり最強タイウィン公に対峙しジェイミー捕獲、即北の王として祭り上げられるなどロブが立派過ぎたか。
うーん、歯がゆい。
まぁなんだかんだ書きましたが、スターク家悲劇の一番の理由は「注目集めるための脚本家のテクニック」。
惨劇を乗り切った子供たちがどう動いてどういう結末になるのか、そこで大盛り上がり。
その中にエダードの意思を受け継ぐ完璧長男ロブ・スタークを入れてあげない製作陣。ロブが哀れです。

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