ポク太郎です。
現代人にはなかなか想像が付かない未開の蛮族の捉え方・考え方。今回は『ゲーム・オブ・スローンズ』の蛮族自由民・野人に着目。
文明側を非難するに至った理由、ナイツウォッチをバカにする理由、考えの元となる宗教的な概念をイグリットが説明するHBOの事前動画から掴み取ります。
シーズン3、
内にシーズン6の を含みます。
事前短編動画で確認する自由民=野人の思想
参照するのはgameofthronesfan94さんの再生リスト中「Game Of Thrones – Season 2 Bluray Extras」。
ここで話題にするのは『自由民=野人』。その理想と概念、ナイツウォッチとの対立理由に関するもの。“野人から見たナイツウォッチ”も語られます。
- History and Lore of Westeros – The Free Folk
- History and Lore of Westeros – The Night’s Watch
~『“自由民=野人”歴史と言い伝え-イグリット談』
~『“ナイツウォッチ”歴史と言い伝え-イグリット談』
“最初の人々”が壁北に居る理由と歴史
壁建造は8000年前でその理由はホワイトウォーカー
野人が知らないウェスタロスの歴史。もちろん口伝伝承の伝説なので正確かどうかは不明。
が、それを使う前に和解し、神の目に浮かぶ顔の島で停戦協定。
森の子らと和解した最初の人々は、森の子らが崇拝する万物に宿る神と同様の古い神々(昔の神々)を信奉するように。ウィアウッドの木を崇拝しハートツリーを城内に併設。
1万年前、何らかの理由でホワイトウォーカー出現。長い年月を置いて人間を攻撃し始めました。
8000年前、冬が100年続いたとされる“長い夜”襲来。ここで森の子らと最初の人々が共闘し、ホワイトウォーカーを北限まで追い返します。
ブランドン建設王は再来襲できぬよう森の子らの魔法と巨人の怪力を借り壁を建造しました。
この時に壁の北側に居たのが自由民、野人の祖先。
北部はスターク家とボルトン家が熾烈な支配者争い→結局、地峡ネック、熊の島まで併合したスターク家が北部を平定するに至りました。
その後6000年前にアリンの谷間からアンダル人来襲。地峡にある要塞ケイリン以南はアンダル人が深く入り込みウェスタロスの主勢力に。北部は影響小だったが、南部には七神正教が浸透。
それら大事件と並行し何百という王国が戦争を繰り返した結果、七王国へと集約されていきます。北部はスターク家率いる北の王国へ。
“自由民~野人”逸話・言い伝え
語り手:野人イグリット | |
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どれくらい昔なのか。南の古い王様が魔法で巨人を奴隷にし、お前らのその有名な壁を作らせたらしい。そして、うちの部族を全て反対側に追い出し、アタシらを未開の“野人”とか言ってそっちに留めるための軍隊を置いた。
南の古い王様…恐らくブランドン建設王のこと。野人にとっては非偉人の様子。
そっちに留めるための軍隊…ナイツウォッチのこと。 |
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2 |
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マー!王は賢いね。巨人でさえ跪かせられる。巨人がお前の頭を小突きたいときだけだが。自由民は誰かの父親がアタシらに命令するのが理由でその誰かに従うことはない。もし王の息子がその父と同様勇敢で強けりゃ従うよ。でもそうでなけりゃ従わないよ。 | |
3 |
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でもアタシには、壁がアタシらを解放し、お前ら南方人を閉じ込めてるようにも見える。お前らは法律を守り、選んでもない王に跪き、発言を聞いたこともない神に祈る。七神に疑問を持つ者も居ない。 | |
4 |
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壁の向こうでは星が明るくはっきりと輝く。そこの神々は人の話に耳を傾ける。アタシらの神はアタシらを守る木のある森の中、アタシらを養う川の中に居る。彼らはアタシら全員に土地を共有してくれる。アタシらは必要な時必要な場所で魚を釣り、収獲し、狩りをする。 | |
5 |
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男は女が欲しければ、強くて賢い息子を与えることを証明しなければならない。もし彼女が彼の喉を切ろうとしても彼がそうさせない、アタシには簡単なことだが。自由民は得られるものを得、持てるものを持つ、それ以上はしない。
※例えがよく分からないが、それぞれが一人で生きる能力を兼ね備えてるよと言ってるものかと。
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アタシの仲間が壁を越えなかったとしてもお前らの王様はナイツウォッチに壁を守らせてたと思うよ。お前らはそいつら王様を鋼と金と娘を常によりたくさん持ってるから金持ちと見てる。怖いんだろ。常にメモを取ってたのなら、自由とは何か知らないだろう。壁を越えたことが無ければ、恐怖が何かもわからないだろう。そのうちわかるよ。 |
イグリットが言ってるのは「身分や役職、信仰など意味のない決まりに縛られ、野生に生きる能力を失い、思い通りに好きに生きられない世界を作ったお前らはバカだ!」
日本人はそれを“アリとキリギリス”と捉えてしまいますが、“卑しい蛮族”扱いされたイグリットは上のように反論します。
確かにポク太郎は追い炊き機能付でなければ風呂も沸かせません。“分量に合う線まで水入れて炊飯スイッチ押す=お米の炊き方”と認識してるので。
もちろんサランラップで封された発泡スチロール皿に入ってるのが“食べても大丈夫な魚”。どっかで泳いでた訳じゃないでしょ、この魚?
野人の常識~正確に伝わってない壁の伝説
「魔法で巨人を従わせ壁建造」と言っています。北部で伝わるのは「森の子らの魔法と巨人の怪力を借りて建造」。“口伝伝承”&南方人憎しで話が移り替わっていってるようです。
因みにもっと南方のタイウィン公は「全部作り話。」
野人の常識~世襲を完全否定
第2パラグラフ。世襲を完全否定。勝手に壁を作り「お前ら未開の蛮族はコッチ入るな」。なので世襲王政、書物、跪く風習、法律、七神信仰と南の文明を全否定します。
で、イグリットがバカにするのはサバイバル能力を失った文明人。コイサンマンが都会人を見て何で鹿捕まえられないんだろうと疑問抱くのと同じ。
野人の常識~宗教と信仰
自由民=野人とはスターク家を始めとする北部人と同じ最初の人々の末裔。
最初の人々が崇めるのは森の子らが崇めた神。日本のヤオヨロズの神のように万物に宿るものを崇拝しています。イグリットが動画中で言ってるのはそれ。
七神正教が入り込んだのは6,000年前のアンダル人来襲時。地峡以南は征服&小競り合いの結果ほぼ同化し全域が先住民との混血。
が、地峡以北は要塞ケイリンで北の王が侵入を防いだため影響小。なのでスターク家は古い神々昔の神々を信奉しています←森の子らの信仰に近いもの。
北部にも七神信仰の者はいますが、流刑地となった壁に送られるのは全土からの孤児・罪人。イグリットが言ってるのはその南方人の言動で得た知識からと思われます。
野人から見た“ナイツウォッチ”歴史と言い伝え
語り手:野人イグリット | |
1 |
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我は暗闇の剣士なり…、ハーイ。ナイツウォッチの黒衣の兄弟は少なくとも多大な自由さを確信し…、いやそれはない。お前ら南方人は変なヤツらだよ。人殺しに更に殺し方を訓練し、盗人や強姦魔を人目につかない暗がりに送る。で、善人になれと約束させる。 | |
2 |
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んで、昼間から寝るまでソイツに後悔させる。凍った壁を歩き、凍った石を運び、凍った食い物を茹でる。夜、横になっても凍ったベッドを誰も暖めてくれない。鴉が一緒に巣を作らない限りは。 | |
3 |
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ホワイトウォーカーが常冬の地でうごめいてて、壁とナイツウォッチが次回の来襲時に防ぐために作られたって話をソイツが思い出してると思ってんだろ。アタシゃ、そんな大昔のこと気にしねぇよ。 | |
4 |
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アタシら自由民にも伝説はある。お前ら鴉の王が森で光る青目の何かを見つけたって話や、お前らの壁を通って彼女を連れ戻って“夜”の王と宣言した話。13年間、王と女王はお前らのマントみたいに黒い犠牲を払わせ兄弟らを支配したって話。
※)下の“失われたウェスタロスの伝説”参照。
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5 |
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自由民は北部を捜索し、必要時に壁の向こうの王の元に集まり、王が我がものとした古城、夜の砦に向かい突き進んだ。スタークの助けを借り、化けモンを殺し鴉の脱走者を討伐した。でもお前らは感謝だけしていつものように壁の向こうにアタシらを蹴り返した。
王が我がものとした古城、夜の砦…夜の砦ナイトフォートが壁の最も古い拠点。6000年間本部として使われました。200年位前に黒の城を第一拠点に変更。
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6 |
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ケンドール、赤髭レイモンド、骨鎧公、それぞれが荒らし回り勝利を約束した壁の向こうの王全員がナイツウォッチとスタークに屈した。でも今回は違う。新しい王はお前らの手の内を知ってる。お前らは鴉の兄弟と呼んだだろ。彼はその翼を失ってない。
新しい王…現在の壁の向こうの王=マンス・レイダーのこと。20年掛けて90以上の部族をまとめました。ナイツウォッチ脱走者です。
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7 |
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お前らがどう戦略を立てどこが弱点か知ってるぞ。お前らの壁からしっかり監視してろよ。さもないと背中に刃が刺さるのも感じられない程に凍り付くぞ。 |
確かにウェスタロスは罪人を暗がりに送った上、更なる殺人術を仕込み、全土に無償奉公せよと無理難題なシステムを構築しております。非常に冷静で真っ当な分析。
そんな変なヤツらから蛮族扱いされ&壁の向こうに封じ込められ激怒するイグリットが新しい壁の向こうの王の元で攻め込むぞとナイツウォッチに宣戦布告しております。
イグリットが理解できてない野人の目的
第3パラグラフホワイトウォーカーに関して「アタシゃ、そんな大昔のこと気にしねぇよ。」
これはイグリットが理解できてないだけで、今現在の壁の向こうの王=マンス・レイダーが90の部族を説得できた理由は「ホワイトウォーカー来襲」。
なので、今現在の野人側の要求は「壁を通せ、南方へ避難させろ」です。それをナイツウォッチ側が「お前らコッチ来んな」で拒否するので戦争に至ります。
現時点でのナイツウォッチの使命は野人からウェスタロスを守ることだから。
失われたウェスタロスの伝説
ウェスタロスでは、文字の無かった口頭伝承の時代に失われてしまった歴史も存在。
壁の向こうから来た白人女と共に“夜”の王、“夜”の女王を名乗り、黒人のナイツウォッチを何かの生贄に使ったそう。
時の北の王と壁の向こうの王が共闘し排除、ナイツウォッチを復活させ、また、その“夜”の王を名乗ったナイツウォッチ総帥を歴史上の記録から抹殺しました。
上でイグリットが発する鴉の王や女王という名称はその辺の伝説が口頭で伝わったものと思われます。
ついでに夜の砦ナイトフォート料理人の伝説
ついでなので壁北を目指すブランらが話してた夜の砦ナイトフォートの伝説。
、この賓客権侵害に対し怒った神が料理人を自分の子孫を食す巨大ネズミに変え“ネズミの料理人”として知られるように。
この伝説により「賓客権侵害=神が許さない悪行」としてウェスタロス内の常識になりました。
この逸話が登場したのは賓客権が侵害された衝撃の の次の回。
。そうです。どこかの土地に勝手に線引いて「お前らコッチ来んな。」小学生がよくやるやつ。
それをやられたのが自由民、野人。
そら怒るだろうね。しかも長い歴史中にはそれなりに協力し利用された挙句「でもお前らコッチ来んな」「どうせ文字も読めねーんだろ」があった模様。
このドラマを見てる現代人は文明を尊ぶ側なので野人の言い分には賛同しないでしょうが、実際に起きたら道徳的に大炎上する案件。
『ゲーム・オブ・スローンズ』内には大炎上案件がゴロゴロ存在しております。
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