ポク太郎です。
海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』をまだ見ぬ未視聴者のために、再度大元情報から振り返る資料。
今回の注目は王の盾。現代の視聴者にも通じる「騎士道精神」で苦悩するジェイミーとそれを全く理解できない平民ブロンの2視点で語られます。
ジェイミーによる王の盾~映像特典動画
HBOドラマのブルーレイメディアにのみ収録された以下の映像特典を参照します。
〇History and Lore The Kingsguard – Jaime Lannister
語り手:ジェイミー・ラニスター![]() |
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全ての少年は騎士を夢見る。才能ある少年は王の盾を夢見る。才能のない少年はまぁ、俺は知らん。総帥が王の盾の公式記録である白の書に俺の名を記した日のことを覚えている。16歳の時、史上最年少メンバーとして参加した王の森での兄弟団討伐を認められ、サー・アーサーとサー・バリスタンから騎士に叙任された。とあるある無法者が下級の従士に運試しをさせた。彼は兜を使わなかったので俺は彼の頭を切り落とした。その後すぐ、まだ“狂王”と呼ばれてなかった王エイリス二世が私を王の盾に添えた。俺が幸せだったとすればその日だ。
※公式記録である白の書…王の盾名鑑。
※王の森での兄弟団討伐…バリスタン・セルミーの従士として参加したとドラマ内でも発言がありました。王の森とは王都直南の巨大な森林。 |
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何世紀にも渡り王の盾は王国の栄光だった。征服王エイゴンはウェスタロスを炎と血で統一した後、個人的な守護としてこの組織を設立した。臣下の中に征服を受け入れぬ者も居ることを彼は知っており、彼のドラゴンは暗闇のナイフに対しては役に立たなかったのだ。最も優れたウェスタロスの騎士を周囲に集め、彼の統治がより受け入れやすく異質でなくなったことは間違いない。
※この組織を設立した…実際に制度の立案・設立を行ったのは姉ヴィセーニャ。当時の戦争相手ドーンから刺客→弟エイゴン危機一髪→ヴィセーニャが救いました。それが設立のきっかけ。
※より受け入れやすく異質でなくなった…炎と血とはいわゆるドラゴン戦力のこと。人間の兵隊による統治の方が不気味ではないので。 |
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王国の誰もがすぐ王の盾の名と讃美歌を覚えた。俺は小さい頃から確かに知っていた。白い雄牛ジェロルド・ハイタワー総裁、暁の剣士アーサー・デイン、大胆王バリスタン・セルミー、レウィン・マーテル王子、オズウェル・ウェント、ジョンソー・ダリー、そしてすぐ後に天才少年、俺のことだ。我々は王とその家族を守った。我々は王の敵を殺し軍を率いた。我々は求められれば王に助言し、求められなければ王の秘密を守った。我々は領地を持たず、妻を娶らず、子供を設けずを誓う。ナイツウォッチのようだが実際に役目がある。自分の名前が英雄と同じ本に刻まれ、畏敬の念を抱いたかだと?もちろん違う。俺は16歳で聡明だった。自分がそこに入ることは分かっていた。
※実の仕事がある…あたかもナイツウォッチには役目が無いかのような物言いです。まぁ育てた父はこの方なので→タイウィン「壁は単なる流刑地。」
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横にはヴァリリア鉱ダークシスターを振るう竜騎士エイモン王子の名前。治世中ずっとエイゴン無才王はエイモンを侮辱してたが、彼は暗殺者から王を守って亡くなった。エイモン王子が盾の誓いを立てたので当然の運命だった。横にはサー・ガウェイン・コルブレイの名前。彼は赤草原の戦いで、劣勢で重傷を負いながらもターガリエン家の落とし子デイモン・ブラックファイアと1時間に渡り決闘した。サー・ガウェインは盾の誓いを立てていたからだ。横にはサー・ダンカン長身王の名前。彼は生垣の騎士として、ドーン人女性を守るためにエイリオン・ターガリエン王子の歯を数本折った。彼は後に総帥に昇格し、サマーホールで王の傍らで焼死した。サー・ダンカンは盾の誓いを立てていたからだ。
※サマーホールで王の傍らで焼死した…ドラゴン復活の儀式の事故に巻き込まれエイゴン五世と共に焼け死にました。『ダンクとエッグの物語』のダンクです。
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そして今、ジェイミー・ラニスターの名前の下。どうなってるか知ってるだろう。盾の誓いを立てたにも拘わらず俺がしたこと。それは数年前、ほんの先日のことだ。王の盾に加わったとき、俺は生身の伝説の者と並んで戦った。そのような英雄は今や塵だ。彼らの代わりのヤツらは?泥まみれだ。太っちょ王サー・ボロス・ブラント、忘れられ王サー・マーリン・トラント、尻尾を巻いて逃げた犬サンダー・クレゲイン。泥のようにソイツらの名は白の書を汚した。俺の名と同じ位に。
※俺がしたこと…ドラマでは説明されない大前提の常識。自身の誓い先狂王の背中を剣で突き刺しました=“王殺しキングスレイヤー”。
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ジェイミーの悩み=“王殺し”
タイウィンが虚栄心と表現する長男ジェイミーの葛藤。
この世界でも現在の日本人が想像する「騎士道精神」が存在し、ジェイミーを含む男の子にとっては騎士・王の盾=白マントは忠誠に従い務めを果たす、歌にされ称えられる名誉。
つまり男の子にとっての仮面ライダー。それに名を連ねたにも拘らず“王殺し”へ。動画の発言から分かる通り、これがジェイミーの悩み。
「民など気に掛けたことない」なる発言は、守ったのに蔑視する民に向けての虚勢であることがよく分かります。
このように個人名にこだわる長男ジェイミーの態度を、七王国一の実力者タイウィンは「100年後には無意味になる名誉を求める“虚栄心”」と説教します。
その王殺し王の盾を詐欺・裏切り・買収に定評のあるラニスター家の人物にあてがったのがこのドラマを難しくする・ややこしくするポイント。
大量の登場人物に惑わされ、ジェイミー=単なる裏切り者と見てると落とし穴に引っ掛かるのが『ゲーム・オブ・スローンズ』。
動画内で竜騎士エイモン王子の名前が登場しましたが、下項のブロンも持ち出すので詳しくはそちらで。
ブロンによる王の盾~映像特典動画
HBOドラマのブルーレイメディアにのみ収録された以下の映像特典を参照します。
〇History and Lore The Kingsguard – Bronn
語り手:ブロン![]() |
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ほとんどの少年は王の盾になることを夢見る。良家の裕福な少年にはチャンスがある。賢い少年は家で王の盾の歌を歌い、財布や股を広げる。なぜなら王の盾はそれ以外に役に立たないからだ。
※股を広げる…まぁ、ゲイ・バイ・幼児性愛何でもアリの世界なので。
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王の盾の一人が、名前は忘れた、死にゆくターガリエン王に娘を王位に就かせると誓った。王が亡くなったまさにその夜、この王の盾は息子を王位に就かせた。小評議会のジジイが敢えて抗議すると、この“高潔”な騎士はジジイの喉を切り裂いた。ソイツは老王の息子、娘、ドラゴンのほぼ全部と共にソイツが始めた内戦で死んだ。王の盾だと?義務と名誉をどのターガリエンに与えるかを考える脳みそが足りない。双子の兄弟でさえ、最終的に敵対する側につき、頬に涙を浮かべ互いを斬り殺しながら死んだ。
※王の盾の一人…恐らくクリストン・コールのこと。『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』内容。娘を王位にと誓った・反対主張した爺を殺したのは事実ですが、王の盾に次の王を指名する権限はありません。まぁブロンの説明なので。
※双子の兄弟…エリックとアリックのカーギル兄弟のことと思われ。娘側と息子側に別れて戦いました。 |
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悲劇だと思うべきだろうが、バカは毎日バカをするので誰もそれを嘆かない。 | |
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竜騎士エイモン王子は恐らく史上最も有名な王の盾だろう。彼はどう死んだ?エイゴン無才王が犬に食わせた男の兄弟からエイゴンを守ったんだ。その男が犯した罪か?エイゴンが使ってない大量の愛人の一人と寝たことだ。また、その男はエイゴンの盾の一人だった。
※愛人の一人と寝た…エイゴン無才王には多数の愛人がおり、寵愛されなかったその中の1人を寝取ったようです。それが犬に食わされた王の盾で、その兄弟がエイゴン暗殺を目論見、エイモン王子死亡に繋がったようです。
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アーサー・デイン、ジェロルド・ハイタワー。彼らに関する話の半分が真実なら確かに彼らはほとんどの人間より上手く剣を振るえる。でもそのせいで彼らの人生は更に無駄になった。七王国が見た中で最も狂った王の用心棒だった。生きたまま焼き殺している王を警護する。女王を強姦している王を警護する。レイガー王子が盗み出したスターク家の娘を隠し、彼らの王を倒した戦争を引き起こした。また、これらすべての成果に金も女もなかった。バカな奴らだ。唯一分別があったのはジェイミー・ラニスターだ。彼の父親が街を襲撃したとき、彼は持ち場で華々しく死ぬのでなく狂王の背中に剣を突き刺した。彼はまだここで生きる。先の盾はもういない。
※彼らの王を倒した戦争…17年前のロバートの反乱のこと。ターガリエン家300年王朝が終焉しました。
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たとえ王の盾が王国で最も優れた騎士だとしても、騎士は鎧を着たバカでしかない。父親が与えた馬に乗っているだけだ。白マントを着ても賢くなったり大胆になったりはしない。それはただのかわいい小カーテンだ。裏は同じくクソが詰まってる。 |
平民による王の盾分析
平民ブロンが説明する王の盾制度。
平民故に平民の考え方。
●王の盾それぞれがそれぞれ勝手な考えで動いた方が世の中上手くいく。
●王様の愛人でも、疎外された愛人なら寝取っても一向に問題ないはずだ。
“統治”とは、唯一の脳みそで辻褄の合う施策を打ち出して初めて成るもの。その唯一の脳みそが王様であり、良策を打ち出すため小評議会などの文殊の知恵。
その唯一の脳みそである王様の威厳を守るため、身分の差を強調し選ばれた特別な存在として君臨します。
上手くいかない理由は、その唯一の脳みそに暴君が居座るから。問題はそこであって、平民ごときが「たまたま上手くいくその場しのぎの判定をすべきではありません。
現在のような公権力による統治が出来上がる過程では、ブロンのようにその場しのぎの世渡り的な判断も善しとされ、また、それが取り込まれていった結果の現在なのでしょうが。
こんなドラマ見てブロンもそう言うからと自分の都合で勘違いするバカが出てきそうなのがいやだわ。特に難しいドラマだし。
導入用の特典映像でウェスタロスの歴史を持ち出すもんだから、それすら理解できないのがHBO。なので、“エイゴン”で追いかけるターガリエン王朝300年の概略を。
エイゴン一世 | 300年前。初代征服王エイゴン。 |
エイゴン二世 | 200年前『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』時代。内戦を引き起こし、ターガリエン王朝の衰退=ドラゴン絶滅を招く。 |
エイゴン三世 | 上記の甥。先代エイゴン二世らの後始末。 |
エイゴン四世 | 150年前。歴代最悪の王。王国分裂の危機を招きターガリエン王朝にトドメ。 |
エイゴン五世 | 90年前『ダンクとエッグの物語』時代。民衆の中で育った主人公エッグの理想が腐敗したウェスタロスに通用せず失敗。 |
狂王エイリス二世 | 17年前。ターガリエン王朝終焉。 |
んで、ここでも登場した竜騎士エイモンについて。
竜騎士エイモンとは歴代最悪の王エイゴン四世無才王の弟。歌も作られ賞賛された名騎士だったそう。エイゴン無才王が歴代最悪と言われる理由に登場します。
無才王は妹である后が弟エイモンに恋してると嫉妬→跡継ぎデイロンは后と弟エイモンの落とし子と言いがかり裁判→本当の落とし子デイモン・ブラックファイアを正統化→大戦乱発生。
これでターガリエン王朝の終焉がほぼ確実になったのではないでしょうか。
「征服王エイゴンがウェスタロスを炎と血で統一した後…」などと原作を知らない視聴者に向けて多様な言い回しで説明しております。
“導入向け説明”に登場するのは双竜の舞踏やエイゴン無才王の歴史話。ウェスタロス1.2万年の歴史を全部知ってないと結局理解不能。
まだ見ぬ未視聴者のためにと整理しておりますが、『ゲーム・オブ・スローンズ』本編と同様このような解説を要する構成となっております。
特典映像として収録されておりますが、これホントに役に立つんでしょうか。王の盾やナイツウォッチより役に立ってない気がするのですが。
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