ポク太郎です。
書いてある内容が理解できない『神々の指紋』の個人的勉強ノート。
本投稿は第2部-第11章「太古の暗示」。
『神々の指紋』第2部「海の泡 ペルーとボリビア」~全体あらすじ
第2部の概要・要約・あらすじ
旅行記の体で綴られる南米ペルー・ボリビアの遺跡とビラコチャ伝説。移動経路はナスカの地上絵→クスコ→マチュピチュ→チチカカ湖→ティワナク。
途中、ビラコチャ伝説とエジプト王の共通点をこじつけながら到達地ティワナクの建造時期1.7万年前と主張。
南米古代遺跡に見られる技術がインカ帝国によるものでなく、1.2万年前に存在した現在より高度な技術であると話を展開していきます。
登場した遺跡名
第2部 ペルー・ボリビア |
ナスカ周辺 | ナスカの地上絵…ハチドリ・蜘蛛・サル・クジラ・幾何学図形。 |
クスコ周辺 | サクサワマン…石組みで作られた古代城塞。 コリカンチャ神殿…αビラコチャ神殿。 |
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マチュピチュ周辺 | インティフアタナ…“太陽を留める柱”。 ワナピチュ…反対側の山。 |
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ティアワナコ周辺 | αビラコチャ像神殿。 アカパナ・ピラミッド…水路完備。 カラササヤ…南西角に太陽の門。 |
書籍内の証拠名称、人物名
書籍中の文言が分からなくなるので証拠名称や人物名にA~の通し記号。
Aピリ・レイス | オスマントルコ帝国海軍総督。1513年に地図を描く。南極大陸の海岸線が現在の地図に見事に一致。 |
Bプトレマイオス | AD100年頃を生きた古代ローマの学者。数学・天文学・地理学・地図製作学等に精通し多数の業績。 |
Cピサロ将軍 | 1513年に到着したスペイン将軍フランシスコ・ピサロ。インカ皇帝アタワルパを約束反故にして殺害し、本国スペインから死刑判決。現在のペルー人も“インカ文明を破壊した元凶”と捉える人物。 |
Dガルシラソ・デ・ラ・ベガ | スペイン貴族とインカ王族の子息で、征服直後16世紀に『インカに関する公式報告書』を執筆した年代記編集者。 |
αビラコチャ | 南米ペルー・ボリビアの神話に登場する半神半人。アゴ髭を生やし数々の文明をもたらしたと言われる神。海からやってきて海へ去った“海の泡”。 |
βコリカンチャ神殿 | 純金のシートが敷き詰められ、純金のトウモロコシが栽培されるインカ帝国の首都クスコにあった神殿。 |
γカラササヤ | ティアワナコにある遺跡中の半地下式構造の広場「石が垂直に立つ場所」。北西には太陽の門。 |
aハンコック | グラハム・ハンコック。著者。元「エコノミスト」誌の東アフリカ特派員。 |
bハプグッド教授 | チャールズ・H・ハプグッド。キーン州立大学教授。歴史学者。 |
cアインシュタイン | アルバート・アインシュタイン。ノーベル物理学賞受賞者。 |
dボナンスキー教授 | アーサー・ボナンスキー。ラパス大学教授、ドイツ系ボリビア人。『ティアワナコ アメリカ人の揺りかご』執筆。横道傾斜のズレからティアワナコ建設時期がBC1.5万年と主張。 |
第11章「太古の暗示」
書き出し部「ティアワナコ建設=BC1.5年の証明開始」
第8章で“ティアワナコ建設時期の証明先”と宣告してた章。書き出し部からいきなり開始。
dボナンスキー教授『ティアワナコ アメリカ人の揺りかご』「当時と今日の横道傾斜の違いからカラササヤ建造時期=BC1.5万年と導いた。」
H011-1)横道傾斜とは…地球の地軸が公転軌道に対し傾いてるがその角度のずれのこと。天の赤道面と黄道面のなす角。現在23度27分。
H011-2)その角度が22度1分~24度5分の間を4.1万年周期で変動→建設時期はBC1.5万年。歴史観でなく計算結果への支持者は、
- ポツダム天文台所長ハンス・ルーデンドルフ博士
- バチカン天文台フリードリッヒ・ベッカー博士
- ボン大学アーノルド・コールシュッター博士
- ポツダム天体物理学研ロルフ・ミューラー博士
⇒誰が建造した?と問題提起。
第1節「魚を着る人物」
カラササヤ内部の2体の石像。南西角「エル・フライレ=修道士」、東端中央「巨人」。
エル・フライレ…胴から下は魚のうろこ。dボナンスキー教授によれば「魚人」。
H011-3)南米には非常に古い神話が存在「湖の神で魚の尾を持つチュリチュアとウマントゥア」。メソポタミアにも水陸両性人の神話多数“水陸両性一族の指導者オアンネス、ウアン”。
古代セム人のベロッソス「オアンネスの体は魚、足には魚の尾びれ。人間と会話し夜は海底。食事なし。文字・科学・芸術伝え建築・法学・幾何学説明。改良の余地無し人間。」
H011-4)オアンネスの姿=魚人で南米のエル・フライレソックリ。手荷物道具もソックリ。カラササヤのもう一つの偶像の手には不明な道具。
第2節「絶滅した種の姿」
突然旅行記の文体に戻り、太陽の門に到着。
幅 | 3.8m |
高さ | 3m |
厚さ | 0.45m |
重さ | 安山岩、推定10トン |
特記事項 | カレンダー小壁が最大の謎。 |
最大の謎はカレンダー小壁に描かれる壁画。
H011-6)「ハッキリとゾウの頭」…南米大陸にゾウは存在せず、紀元前1万年に突如絶滅したキュビエロニウスと言う名の長鼻類。
H011-7)よく見ると二羽のコンドルだが、ティアワナコ彫刻の特徴は一つの造形で別の物体を表す→だからゾウ。他にも四肢動物シェイドテリウム、足の指が3本なアメリカ原生馬。
H011-8)でも最終的な“絶滅した動物描画の決定打”とするのは専門家が間違いないと指摘するカバのようなトクソドン。
太陽の門の小壁の図柄が完成されてない=その時期に何かが発生、と締めくくり。
第11章の感想、疑問点、批判
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横道傾斜の計算からティアワナコ建造が1.7万年前と言うが、そのためには必要な大前提は「ティアワナコ建造物の方位は日の出・日没方位」であること。
P011-1)もちろん証拠自体が少ない考古学なので仮定計算は要するが、上記の確証無ければ単なる無駄計算。
もう一つ、横道傾斜は22度1分~24度5分の間を4.1万年周期→0.5度の誤差で1万年以上ゴソッとずれても不思議なし。どうせサインカーブだろうし。
となると、P011-2)日の出の方角に合わせるだけの単細胞で横道傾斜の概念もない低知能な未開人の筈だと前提にして論理を重ねるくせに、一切誤差なく建造した現在以上の文明だった?
前提崩れたんならもう一回論理作り直せ。説明の過程で“未開人”“高度な文明人”を都合よく使い分けるのは一貫性が無い矛盾した説明。
ここでaハンコック論法への文句。
第8章で「ティアワナコ建造=1.7万年前の証明」先と宣言までしたのが本章。
それが書き出し部でいきなり終了、第1節は全く無関係な魚人オアンネスの話、第2節で多少時代の観念の話しつつもゾウである証明は無し。
この無茶苦茶な構成と更にはもう一つフラストレーション。
現南米大陸に存在しない生物が描かれてると力説する“絶滅した種の姿”=トクソドン。
図示もせずグダグダグダグダその観察所感を書き連ね、最後に「専門家が間違いなくトクソドンと指摘」。専門家の指摘を決定打にするなら最初から自分の観察所感など不要。
TOPページで説明した通り嫌々読んでるからでなく自ら再挑戦してる書籍ではありますが、これはイラつきます。もーう怒ったゾウ!
bハプグッド教授の地殻移動説、dボナンスキー教授の横道傾斜。それら怪しい理論を何の取り柄もない無教養爺ポク太郎は信用しません。理由は、
思い付きを羅列しただけの、自分で読み返してすらない乱文を世に放つ方の支持が、支持された教授らにとって援護となり得るかどうかをまず自覚する必要があります。
全くの無関係カテゴリの物理学者cアインシュタインを持ち出すaハンコックさんなら分かる筈。援護するなら、まともな執筆で自身の判断能力を証明してから。
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