ポク太郎です。
書いてある内容が理解できない『神々の指紋』の個人的勉強ノート。
本投稿は第4部-第26章「地球の長い冬に生まれた種族」。
『神々の指紋』第4部「神話の謎1 記憶を喪失した人類」~全体あらすじ
第4部の概要・要約・あらすじ
南米・中米を横断し、次はノアの箱舟神話が話題。
世界中に伝わる似た神話・伝承は作り話でなく人類が経験した天変地異の記録だと主張。
最後の氷河期には世界的な火山爆発→突然の氷結・融解と証拠を並べ、その当時の記録だと断言。神話が事実ならαビラコチャ・δケツァルコアトルも実在ではと次第5部の歳差運動へ繋げます。
登場した遺跡名
書籍内の証拠名称、人物名
書籍中の文言が分からなくなるので証拠名称や人物名にA~の通し記号。
Aピリ・レイス | オスマントルコ帝国海軍総督。1513年に地図を描く。南極大陸の海岸線が現在の地図に見事に一致。 |
Bプトレマイオス | AD100年頃を生きた古代ローマの学者。数学・天文学・地理学・地図製作学等に精通し多数の業績。 |
Cピサロ将軍 | 1513年に到着したスペイン将軍フランシスコ・ピサロ。インカ皇帝アタワルパを約束反故にして殺害し、本国スペインから死刑判決。現在のペルー人も“インカ文明を破壊した元凶”と捉える人物。 |
Dガルシラソ・デ・ラ・ベガ | スペイン貴族とインカ王族の子息で、征服直後16世紀に『インカに関する公式報告書』を執筆した年代記編集者。 |
Eコルテス | 古代メキシコ文明の文化を殲滅したスペイン人征服者エルナン・コルテス。ただし、メキシコ生贄文化に対抗したと受け取られ、Cピサロ将軍のような扱いでなく平和の神にされることも。1,000ペセタ紙幣の肖像。 |
αビラコチャ | 南米ペルー・ボリビアの神話に登場する半神半人。アゴ髭を生やし数々の文明をもたらしたと言われる神。海からやってきて海へ去った“海の泡”。 |
βコリカンチャ神殿 | 純金のシートが敷き詰められ、純金のトウモロコシが栽培されるインカ帝国の首都クスコにあった神殿。 |
γカラササヤ | ティアワナコにある遺跡中の半地下式構造の広場「石が垂直に立つ場所」。北西には太陽の門。 |
δケツァルコアトル | 意味は“翼ある蛇”。メキシコで言い伝えられるαビラコチャによく似た主神。あご髭白い肌。 |
εトナティウ | メキシコマヤ文明で言い伝えられる五代目太陽神。現在はその五代目太陽“期”。 |
aハンコック | グラハム・ハンコック。著者。元「エコノミスト」誌の東アフリカ特派員。 |
bハプグッド教授 | チャールズ・H・ハプグッド。キーン州立大学教授。歴史学者。 |
cアインシュタイン | アルバート・アインシュタイン。ノーベル物理学賞受賞者。 |
dボナンスキー教授 | アーサー・ボナンスキー。ラパス大学教授、ドイツ系ボリビア人。『ティアワナコ アメリカ人の揺りかご』執筆。横道傾斜のズレからティアワナコ建設時期がBC1.5万年と主張。 |
第26章「地球の長い冬に生まれた種族」
書き出し部「原始人類学で現代人登場は5万年前」
“歴史”とは人類がハッキリ記憶している時代のこと。過去5000年間、人類が絶滅の危機を迎えたことはない。
aハンコックさん疑問→「神話は古代の詩人の作り話」との学者見解が間違いである可能性は?
H026-1)“完全に文明化された”人類の登場時期に関し、研究者の見解は10万年前、4~3.5万年前、5万年前と様々→誰にもわからない。
時期 | 呼称 | 説明 | 脳の容積 |
350万年前 | アウストラロピテクス | ルーシー…1974年にエチオピアで発見されたアウストラロピテクス・アファレンシスの化石。二足歩行。学者見解は人類の直接の祖先。 | 400㏄ |
200万年前 | ホモハビリス | 初めて道具を作ったとされる直立猿人。時間経過と共に進化していく過程をハッキリ残す。 | 700㏄ |
160万年前 | ホモエレクトス | 直立猿人。 | 900㏄ |
40万年前 | ホモエレクトス以降大変化なし。学者見解「賢い=サピエントへの移行時期は判断が難しい。頭脳拡大は40万年前頃と言われるが、この時期の化石があまりに少なく断言できない。」40~10万年前の過渡的な種と現代人との関係が全く不明。 | ||
11.5万年前 | ホモサピエンス・ネアンデルタール | 40~10万年前の過渡的な種と現代人との関係が全く不明。あるのは11.5万年前のネアンデルタール人のみ。現代人より体格がよく脳の容積も大。 | 1400㏄ |
4万年前 | ホモサピエンス・サピエンス | いわゆる現代人。台頭し、3.5万年前には完全にネアンデルタール人と入れ替わり。 | 1300㏄ |
aハンコックさん判断→40万年前には物語・神話を作ることができるホモサピエンス・サピエンスは存在しない。
H026-3)aハンコックさん勝手に断言→ネアンデルタール人が10~4万年前まで地球上に君臨してた。
H026-4)aハンコックさんの意味不明な計算→現代人は5万年前登場の可能性大。神話の大災害が地殻の大変動時代の話だとすると、その大変動は5万年前以降の可能性大。
第1節「シンデレラの靴」
「最期の氷河期の開始時期」と「文明化された人類の発祥時期」が合致し、地質学と原始人類学で符合。しかも、どちらも判明次項がごく僅か。
ウィスコンシン氷期…北アメリカでの最後の氷河期。
開始:11.5万年前、氷原最盛期:6~1.7万年前、最大の氷河拡大期:1.5万年前のタズウェル増進期、1.3万年前:溶け始め、1万年前:消失。
H026-5)ヨーロッパのビュルム氷期も似たような変遷で、まとめると、
- 6万年前…氷期進行中。
- ここがホモサピエンス・サピエンス台頭の時期。
- 1.7万年前…氷原の最盛期。
- 1万年前…氷が解け続け消失。
⇒aハンコックさん想像→急激に氷が解け続けた終盤0.7万年は恐怖だったろう。
⇒aハンコックさん断言→当時の古代人は肉体的にも精神的にも現代人と全く同じ存在。
⇒aハンコックさん再度の妄想→神話がこの大荒れの時代の記録では?
第26章の感想、疑問点、批判
P026-1)まず、
書き出し部で「A神話の大災害が地殻の大変動時代の話だとするとB○○の時代だ。」
→第一節で○○の時代を想像し辻褄を合わせ結論したのは「C神話はその時代の記録だ。」
おかしなポイントが分かりますか?
Aを仮定してBを導き、そこからCを結論。おかしなポイントとはA=Cであること。
つまり、結論を仮定して何だかんだ考えたらその結論が導かれました、と世界中に売りさばいた書籍てことになります。
「Aロビンマスクがフェイスフラッシュを放ったと仮定するとBキン肉星の王子だ。」
→家出したキン肉アタル第一王子の噂があるので「Cロビンマスクの正体はキン肉アタルだ。」
P026-2)これは典型的な…アレですが、心配なのはaハンコックさんが意図的に詐欺を計ろうとした風に見えない点。素で思い込んでそうで怖いんだな。
そんな訳で怖いもの見たさでこの『神々の指紋』を読み進めて参ります。
で、本章で原始人類学が語られますが、aハンコックさんの説明を真に受ける訳にはいかないので別で調査。参照したのは以下ページ。
ザザッと確認したところ、上で表にしたaハンコックさんの説明に大幅な間違いは見られず。
ただ注意は、前時代が必ず“後時代の祖先”て訳でなく、大元が同じでも先に分化した種が絶滅してしまうこともあるってこと。
ジャワ原人・北京原人はホモエレクトスから分化した種ですがそこで絶滅。現在ジャワ島や中国に住む人々はあくまでホモ・サピエンスの子孫。
現に先に分化したチンパンジー種が今現在も存在する訳だし。“分化する”とは居住地を離れ交配無くそれぞれが別方向へ進化することなので。
また、リンク先①にある“旧人”“新人”表記は現在ではほぼ使用されないとのこと。理由はホモ・サピエンスの30万年前の化石が発見されネアンデルタール人の直接の子孫でないと判明したから。
とはいえ、現代人(アフリカ以外も)の遺伝子数%にネアンデルタール人の痕跡があることから多少の交配は認められてるらしい。
ここで見たように、考古学・古代史とは化石が一つ発見されるだけでガラっと学説が覆されるほど証拠が少ない世界。
氷河も海底も南極も未調査。それどころかまだタイタニック号すら引き上げられない技術力。
その世界において「神話は地殻大変動の記録だ」「現在より発達した超古代文明が存在した」。
後ろ指されずに生きるためには、その妄想がどれほどまでにオオゴトか判断できる程度には基礎学力が必要てことではないでしょうか。それ判断できれば出版直前に思い留まれるので。
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